2018 Fiscal Year Research-status Report
脳神経外科治療に必要な高精度測温を実現する配線レス熱電対内蔵凍結プローブの開発
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17K13019
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
常盤 達司 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (00636219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 凍結プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳神経外科治療への応用を目指した配線レス熱電対内蔵凍結プローブを開発し,その有効性を立証することである. 本年度の計画は,前年度に引き続き1)提案凍結プローブの特性調査試験を行い,熱電対を内蔵したことで生じると当初予想された問題に取り組むこと,さらに,2)臨床応用を見据えた動物実験の立案を行う予定であった. 1)特性調査試験は恒温水槽で温度を一定に保った寒天に提案プローブを指入し,20分間の凍結を行った際の温度変化を計測した.凍結温度が-35度に達していたことから,提案プローブが所望の動作をすることを確認した.さらに,従来の凍結プローブよりも高精度にプローブ先端温度を測定可能であることを確認した.熱電対を内蔵した凍結プローブに対して当初予想されていた問題への対策として,プローブ素材の一部を絶縁材料(テフロンチューブ)で代用したプローブを新たに開発した.特性を調査したところ,前年度開発したプローブと同等の性能を示したことから,当初予想していた問題は生じないことがわかった.2)臨床応用を見据えた動物実験の立案については,薬物によりあらかじめ「てんかん」を誘発したWistar ratに対して,提案凍結プローブを用いててんかん焦点を凍結する実験計画を立案した.実験で得られた皮質脳波,プローブ先端温度変化,凍結領域の組織観察の結果から,本提案プローブが薬物投与部位の細胞を凍結し,「てんかん」の放電と発作が消失することを確認した.本成果は,凍結温度と細胞凍結壊死の関係を定量的に評価可能となることから,学術的意義が高いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来計画していたプローブの改良とその評価,ならびに,臨床応用を見据え物実験の立案を計画通り終了した.さらに,研究期間中に動物実験を実施し,提案凍結プローブの有効性を立証することができた.一連の成果をまとめ学術専門誌に投稿,採択通知を受けた(2019年度中に掲載予定)
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Strategy for Future Research Activity |
現状では凍結治療の応用先は限られているので,特長を見極めた上で新たな応用先へのアプローチを検討する予定である.
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Causes of Carryover |
本研究テーマに関する論文投稿を行ったところ,査読結果の通知が年度内に届かなかったため,次年度使用額が生じた.次年度使用額は,査読者から追実験を求められた場合やさらに研究を進めるために使用する.
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Remarks |
Gold Medal受賞 (Nikolai N. Korpan Award, 第45回日本低温医学会総会)
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