2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a mechanical drug efficacy evaluation technology for reducing new drug development cost
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17K13021
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
横山 奨 東海大学, マイクロ・ナノ研究開発センター, 特定研究員 (30760425)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 力学的薬効評価 / Traction force / TFM / インクジェット / ゲル上培養 / 細胞パターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
インクジェット技術と反応性イオンエッチングを組み合わせることで、これまで困難であった細胞のゲル上培養と細胞パターニングを同時に可能な技術を開発した。 近年、新薬開発コストの急激な増大が問題となっており、早急な技術革新による新薬開発コストの低減が求められている。有望な薬物分子が細胞に与える変化を迅速かつ正確に評価する技術は、新薬開発プロセスにおいて極めて重要である。しかし、既存のセルベースアッセイは、細胞群に新薬を投薬するため個々の細胞への影響を詳細に評価することが不可能である。また、評価系に蛍光プローブを用いる手法が一般的であるため、定量的な評価が困難である。蛍光強度を測定するためには多数の細胞が必要であり、新薬開発過程で必要とされる新薬の量が多くなるという欠点も存在する。そこで申請者は、単一細胞が発揮する“力”を利用した薬効評価技術の確立を目指している。 その実現のために、細胞パターニング技術と細胞トラクションフォース測定技術を組み合わせた、独自の力学的評価に基づく薬効定量評価技術を開発中である。これを実現するためには、細胞のゲル上培養と細胞パターニングを同時に達成する必要がある。 今年度はインクジェット技術と反応性イオンエッチングを用いた薬効評価用基板の開発・作製に注力し研究を遂行した。インクジェットで塗布するには、ゲルが耐熱性・耐圧性を有し、低粘度であることが必要である。そこで、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をイソプロピルミリステートで希釈しインクジェットへ最適化した。反応性イオンエッチングで単一細胞と同サイズに加工したチャンバに、インクジェットを用いてPDMSを充填、細胞培養用ゲルを精密塗布することに成功した。 複数の国際学会に参加し、本研究に関する成果を報告するとともに情報交換を行った(MicroTAS2017、他2回)。また、研究成果の特許出願手続きを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた市販のインクジェット装置の性能が想定していたよりも低く、ゲルの粘度を調整しても塗布が困難であった。そこで、より高粘度のインク射出に対応したインクジェット装置を協力企業から提供いただき、条件出しをやり直したため、当初より実験の遂行が遅れている。また、代表者の異動に伴う空白期間が生じたため、遅れを取り戻すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者の異動により、大阪工業大学、東海大学、協力企業が連携した新たな研究体制を構築する予定である。また、インクジェットによる細胞培養用ゲル基板の作製工程は、協力企業により参画してもらい、効率的な研究開発目指す。同工程の技術については特許化を進め、新たな研究のツールとしての活用を目指す。また、薬効評価用基板としての性能評価や研究に関しては、細胞培養などの機材面の調達を図る。 代表者の異動により研究体制が変更されたため、大学間および大学企業間でより綿密に連携を取る必要がある。そのため現在、三者間での秘密保持契約の締結を進行中である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (MicroTAS 2017)の参加費と旅費を全額計上していたが、加藤記念バイオサイエンス振興財団より参加費と旅費の一部を補助いただいたため、支出額が減少した。 一方で、設備備品費として計上していたECLIPSE Ti-U 研究用倒立顕微鏡であるが、後継機種のECLIPSE Ti-2 研究用倒立顕微鏡が発売され、慎重に検討を重ねた上で購入機種をECLIPSE Ti-2 研究用倒立顕微鏡に変更したため、支出額が増加した。
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