2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of the ultrasonic mechanism moving inside the human body for spinal fusion
Project/Area Number |
17K13043
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北野 雄大 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30754600)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超音波加振 / 脊椎固定術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は脊椎湾曲の矯正を目的とした脊椎固定術用の医療機器を開発することにある。従来の脊椎固定術は患者の成長や治療状況に合わせて固定具を交換する必要があり、交換頻度の多い患者の場合は負担となる。その為、人体内部に埋没した状態で伸縮可能な固定具が求められている。本研究では人体外部から超音波加振を行い、人体内部で伸縮する固定具(以後、伸縮補助具と呼称する)の開発を行った。 平成29年度は伸縮補助具の動作原理の確立と人体内部の構造を模擬した模型を用いた動作実験を予定していた。しかし、これらの課題は十分に達成できておらず、更なる解析が必要である。 平成29年度は、まず初めに動作原理の確立を行うため、ANSYSを利用して超音波により動作する振動部を設計し、製作した。製作した伸縮補助具に周波数28.5kHzの振動を加振したところ、約16.2 [rad/sec]の角速度でネジ部が回転し、伸縮動作を実現した。伸縮補助具を用いた実験から加振位置と挙動の関係性を確認し、安定した挙動が可能であることを確認した。その後、伸縮補助具に関する実験結果をまとめ、第37回日本生体医工学会甲信越支部大会にて発表した。また、本研究の内容に特許性が認められることから、本研究のいくつかの内容に関して特許申請を行っている。 平成29年度はさらにシリコンと脊椎模型を利用した模擬環境での実験を想定しており、模擬実験に関する予備実験を行った。本手法では皮膚や脂肪を介して伸縮補助具に超音波を加振することを想定している為、予備実験としてシリコンへの加振を行った。当初予定していた超音波の周波数でシリコンへの加振を行ったところシリコン表面に破損が見られた。これは超音波のエネルギーが熱に変化したことが原因であると考えられ、周波数の変更が必要となった。現在は既存の超音波を利用した医療機器の周波数を参考に手法の改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では平成29年度は伸縮補助具の動作原理の確立が目標となっている。その為、いくつかの伸縮補助具を試作した。試作した補助具を従来の脊椎固定術に利用される固定具に振動部を利用した伸縮部を取り付け、超音波加振により伸縮動作が実現できることを確認した。しかし、加振の際の加振部と補助具の接触位置により、動作が異なることが分かった。加振位置の問題は実際の運用を想定する場合に起こり得る問題である為、対応が必要となった。その為、現在は加振位置による影響を少なくする伸縮補助具の開発を進めている。 平成29年度はさらに模型を用いた模擬実験も想定しており、伸縮補助具の試作と同時に模型の作成も行った。既存の研究から超音波を人体に加振する際の負担は示唆されているが、定量的な評価が行われたことは少なく、本研究ではシリコンと3Dプリンタを利用した模型を用いて模擬実験を行う。開発した模型に対して本研究で想定していた周波数を持つ超音波を加振したところシリコン表面が高温となり、小さな穴が発生した。これは超音波がシリコン表面で吸収され、熱に変化したためと考えられる。人体に対しても同様の現象が予想され、周波数の変更もしくは運用方法の変更が必要となる。その為、現在は既存の超音波を利用した医療機器を参考に周波数の変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では平成30年度は伸縮補助具の生体内部での運用への適応が目標となる。しかし、模型を用いた模擬実験が遅延していることから年間計画も見直しが必要となる。平成30年度の主な目標は生体内部での補助具運用手法を確立することにあり、模型と生体との特性の差への対応が具体的な作業となる。当初の計画では模擬実験にて十分な情報が得られると考えられていたが、シリコンを利用した模型と生体では音響インピーダンスの差や血管等の複雑さなど、模型と生体との特性の差が確認された。その為、模型を用いた模擬実験を短縮し、畜産物等の生体を利用した実験を行おうと考えている。 また、加振器と伸縮補助具の接触位置による動作の変化を防ぐため、両者の接触を安定化するための治具の開発を進めている。その他、既存医療機器で利用されている超音波のパラメータを参考にホーンの改良、加振器の改良も同時に進める。
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Research Products
(1 results)