2017 Fiscal Year Research-status Report
心臓リハビリテーションにおける肺高血圧症の新たな非侵襲的重症度評価法の開発
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17K13047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋月 三奈 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (40772182)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 呼気ガス分析 / 非侵襲的評価法 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺高血圧症(PH)とは肺動脈圧が持続的に上昇した難治性疾患の総称であり、病態の進行と共に肺血管障害が進行し、右心不全が進行する予後不良な疾患である。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は肺動脈内に発生する器質化血栓による肺動脈の閉塞あるいは狭窄により、肺動脈の上昇を招きPHを発症する疾患である。 CTEPHを含む肺高血圧症(PH)に対する運動療法は推奨されるようになったが、重症例に対しては右心不全および生命予後を悪化させるため、介入する上で重症度の評価は極めて重要である。また、PHの重症度評価には右心カテーテル検査が一般的であるが、侵襲を伴うため頻回に検査を行うことはできない。さらに、現在の非侵襲的検査においても評価精度や信頼性に関して一定の見解が得られていない。 本研究の目的は、呼気ガス分析指標とPHの重症度との関連を解析し、新たな非侵襲的かつ簡易的な重症度評価法の確立および運動療法介入時の監視項目として有用な指標を見出すことである。 平成29年度は疾患重症度と呼気ガス分析指標の関連を明らかにすることを目的とし、C TEPH症例の登録、呼気ガス分析の測定、データ解析を中心に行った。右心カテーテル検査で得られた肺動脈圧や肺血管抵抗などの疾患重症度の指標と、心臓超音波検査で現在PHの疾患重症度の評価で用いられ、最も一般的な三尖弁収縮期圧較差(TRPG) から算出した肺動脈圧の推定値を採用した。 また、右心カテーテル検査で得られた指標と、心臓超音波検査および本研究で得た呼気ガス分析指標を、統計学的手法を用いて比較、検討した。 また、呼気ガス分析を用いた評価法の有用性に関して国内外の学術集会にて発表を行った。現在、内容をまとめ学術雑誌での論文発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の予定症例数は60例であったが、予定通りの症例数を登録することができた。また、平成30~31年度に予定している治療前後の症例においても、新規のCTEPH20例を予定していたが、現在17例程度の登録および測定ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30~31 年度は研究2である運動療法介入時の監視項目として有用な指標を明らかにする。運動療法介入においては、重症度や臨床症状を考慮し、運動処方を行うことは重要である。しかし、PH に対する運動療法ににおいて監視項目に関して確立したものはない。そこで、治療経過に伴い、重症度と共に変化しうる呼気ガス分析指標に関して解析する。この解析を通じて、本研究の目的である運動療法介入時の監視項目として有用な指標について検討する。 [対象]PH と診断され、薬物療法を開始予定の患者20 例およびPHと診断され、血管内治療(カテーテル治療) を予定されている患者20例とする。 [方法] 1. 呼気ガス測定:薬物療法あるいは血管内治療前後において、研究1 と同様の方法で右心カテーテル検査施行後3 日以内に測定を行う。また、治療前後での血行動態の変化と呼気ガス分析指標の変化を比較、検討することにより、治療に伴う重症度の変化を評価可能な呼気ガス分析指標を検討する。 2. 疾患重症度の変化:右心カテーテル検査で得られた肺動脈圧や肺血管抵抗などの疾患重症度の指標と本研究で得た呼気ガス分析指標を、統計学的手法を用いて治療前後で比較、検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由: 初年度は症例の登録、データ収集を中心に行うことを予定していたが、学会での成果発表および論文作成に伴う校正費等の経費が必要となった。そのため、前倒し請求を行い、学術集会への参加および成果発表を行うことが可能となった。 次年度使用額の使用計画.: 国内および海外学会への参加を計画しており、平成29年度分と併せて執行する。
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Research Products
(2 results)