2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of pulmonary rehabilitation for outpatients with pulmonary hypertension
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17K13049
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
稲垣 武 千葉大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (00770695)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 呼吸リハビリテーション / 安全性 / 運動耐容能改善 / 健康関連QOL改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺高血圧症(PH)患者に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の効果、安全性、改善の機序の解明、疾患特異的アプローチの構築を目的とした 前向き研究である。平成30年度の1年間で、呼吸リハを実施したPH症例を数例蓄積した。各患者において、呼吸リハの前後で運動耐容能、健康関連QOL、身体活動量の改善を認めた。また、呼吸リハ前後で、心エコーの三尖弁圧較差(TRPG)に増悪がなく、安全性が示唆された。上記の内容は、第28回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会(2018年)で学会奨励賞を受賞したため、受賞報告として執筆も行った。さらに、現在12例が呼吸リハを完遂しており、本内容について令和2年度の欧州呼吸器学会で発表する予定である。補助的な検討として、PH患者における6分間歩行試験中の心拍数、SpO2の推移を評価し、薬物治療によって心拍応答が改善することが明らかになったため、下記のように学会発表を行った。 ◯稲垣武:慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるリハビリテーションの効果と運動時心拍応答の特徴 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 28(2),2019年,161-166. ◯稲垣武,寺田二郎,川田奈緒子,山本慶子,杉浦寿彦,重田文子,田邉信宏,巽浩一郎:慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における6分間歩行試験中の心拍応答の変化ー肺動脈血栓内膜摘除術群と薬物療法群の対比ー;第6回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会関東地方会 2019年7月6日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、この1年間で呼吸リハを実施したPH症例を数例蓄積した。全例有害事象なく安全に経過し、改善効果も認めた。症例数は少なかったものの、着実に症例を重ねている。外来通院中に治療を変更したことで本研究の対象にならなかった症例が散見されたことが、症例数が少ない理由としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もPH患者に対する呼吸リハの症例数を蓄積し、改善効果・安全性の確認を行う。特に、身体機能の改善と肺血行動態の関係性を検討することで、呼吸リハによる改善の機序の明確化、安全管理方法の確立、疾患特異的アプローチの構築が望まれる。 先日、当院呼吸器内科はカテーテル検査台で使用できる自転車エルゴメーターと呼気ガス分析装置を購入した。それにより、右心カテーテル検査中に心肺運動負荷試験を実施できるようになった。現在当院の倫理委員会への申請準備中だが、その検査方法を用いて呼吸リハの効果・安全性に関する検討を更に重ねていく予定である。
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Causes of Carryover |
症例数が少なかったことで、万歩計や呼吸筋力測定のフィルターなどの消耗が少なかった。また、本年は国際学会への参加がなかったため、予算が余るかたちになってしまった。次年度は、症例数に応じて呼吸訓練器具やフィルターの購入、本科研費の最終年度になるため国際学会の参加費やポスター印刷費等に研究費を使用する予定である。
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