2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷への幹細胞治療とロボットを用いたリハビリテーションによる新規治療の開発
Project/Area Number |
17K13054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
猪村 剛史 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 助教 (80760016)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 間葉系幹細胞 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷は、重篤な運動障害および感覚障害などの後遺障害を呈する要因となる疾患であるが、未だに運動・感覚障害に対する根本的な治療法は開発されていない。本研究では、脊髄損傷を起因とする運動・感覚障害に対する細胞移植効果を検討するとともに、移植後のリハビリテーション介入の効果を検証することを目的とした。近年の報告で、間葉系幹細胞は採取する由来によって、細胞特性や疾患モデルへの移植効果が異なることが示唆されており、本年度は移植に使用する細胞の選定についても検討を行った。 本研究では、間葉系幹細胞として、頭蓋骨由来間葉系幹細胞、脂肪組織由来間葉系幹細胞、臍帯組織由来間葉系幹細胞、腸骨骨髄由来間葉系幹細胞の培養を行い、過去の報告で移植効果に関連することが示されている遺伝子の発現を解析した。また、神経細胞のin vitroモデルとして使用されるNG108-15に各種ストレス曝露を行い、各間葉系幹細胞の培養上清が与える影響についても検討を開始した。さらに、実際に脊髄損傷モデルに対して、静脈経由での細胞移植を行い治療効果の差異についても一部検討を行った。 その結果、採取する由来の違いによって、遺伝子発現が異なる可能性が示されたが、遺伝子発現の解析を行った検体数が十分でないため、引き続き検討を続けていく。培養皿上でストレス曝露した神経細胞に対して培養上清が与える影響、さらに、脊髄損傷モデルに対する細胞移植効果ともに、対象群と比較して間葉系幹細胞によって改善する結果は得られているが、由来の差異については十分な検体数での検討が課題である。本研究成果の一部は、再生医療関連の国内学会 (第17回日本再生医療学会総会)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移植に使用する間葉系幹細胞について、近年の報告で由来の差異によって治療効果が異なることが示されており、由来の差異についても解析対象としているため。
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Strategy for Future Research Activity |
移植に使用する間葉系幹細胞の選定を進め、移植効果の差異について確認していく予定である。さらに、移植後にリハビリテーションを加えた実験系を行っていくことで、脊髄損傷に対する細胞移植とリハビリテーションの併用効果について明らかにしたいと考える。
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Causes of Carryover |
当初予定したよりも多くの国際学会で研究成果を発表するために、前倒し請求を行った。前倒し請求を行った中で、次年度使用額が発生した。当初の予定通り、細胞移植とリハビリテーションの併用効果の解明に向けて、解析ならびに成果発表を続けていく。
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