2018 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法を用いた新たな運動イメージ鮮明度の客観的評価の開発
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17K13056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
磯 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (70781649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動イメージ鮮明度 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
効果的なメンタルプラクティスの実践のために我々は近赤外分光法(NIRS)による運動イメージ(MI)中の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)濃度変化量を客観的MI鮮明度評価の指標として応用できないかを模索している.そこで,本研究の目的はNIRSを用いた新たなMI鮮明度の客観的評価の指標として,MI中の運動関連領域におけるOxy-Hb濃度変化量を用いることが妥当であるかを,MI鮮明度と関連の深い運動習熟度,主観的MI鮮明度評価及び心的測定時間との関係性から検証する. 昨年度の結果を基に追加実験を行い,研究方法を一部修正して実施した.対象者は12名の健常成人とし,安楽な姿勢をとり,ボールローテーション(BR)のMI課題を用いて運動関連領域の脳血流動態変化をブロックデザインにて計測した.NIRSによる計測は課題の初期トレーニングの前後,最終期トレーニング後の計3回とし,習熟のためにトレーニングとして1分間の5セッション,BR課題を実行しパフォーマンスを計測した.さらに最終期トレーニングとして,1日間の練習を設定した.そして,MIの主観的鮮明度評価2種をNIRS計測前後に実施し,これらのデータを基に脳血流動態変化とMIの鮮明度との関係性を検証し,新たなMIの客観的鮮明度評価としてNIRSが使用可能かどうかを検証した. 実験の結果,BR及び主観的MI鮮明度評価については,運動習熟前後で有意な改善を認め,トレーニングにより課題の習熟を認めたことを示した.また,練習を重ねることでより習熟すること示した.しかし,NIRSによる計測では運動習熟の前後では有意差を認めず,より習熟した段階に至った場合においてOxy-Hb濃度変化量に有意差を認める結果となった.これにより,MI中の運動関連領域の脳血流動態はMIする課題の習熟度と関係があり,主観的なMI鮮明度も影響する可能性があることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に予定していた実験1については実施が終了したが,学会や有識者とのディスカッションにおいて解析や方法の一部に再検討できる部分が生じたため,平成30年度は追加実験を行い,得られたデータの解析を終了し,学術雑誌へ投稿準備を行った.平成30年度より実験2として慢性期の脳卒中患者を対象に研究を進めていく予定であったが,平成31年度から実験2についても開始し,健常者の結果を踏まえて,臨床場面での運動イメージ鮮明度評価としてNIRSが有用であるかを継続して検証する.
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Strategy for Future Research Activity |
実験1及び追加実験の結果について国際誌へ投稿する.さらに実験2の計測を開始し,国際学会へ応募し,ディスカッションを踏まえて解析を進め,公表できるようにしたい.また,本年度より所属先が変更となったため,現在の研究課題を計画的に進めるために,より多くのスタッフの協力を得ながら研究協力者と密に連携して取り組む.そして,リハビリテーションの臨床場面においてMIが効果的に使用できるように客観的MI鮮明度評価の開発を急ぎたい.
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Causes of Carryover |
今年度については実験1に関して追加実験が生じたため,予定していた国際学会には計測が間に合わず,国際誌への投稿へも至らなかった.そのため,平成31年度に実験1について国際雑誌への投稿を行うための経費として充てたい.また,本年度より所属先が変更となったため,より多くのスタッフの協力を得ながら現在の研究課題を計画的に進めることができるよう,今年度の経費も引き続き活用し,成果を公表できるよう取り組みたい.
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