2018 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン遺伝子多型に着目した骨盤臓器脱高リスク発生群の選別化と早期リハビリ介入
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17K13057
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
芦刈 明日香 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80768599)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨盤臓器脱 / 遺伝子多型 / 女性骨盤底 / 腹圧性尿失禁 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨盤臓器脱患者の発生要因として肥満や多経産、慢性的な腹圧動作などの環境因子があるが、それだけでなく未経産婦の発生や家族歴を有する患者存在から遺伝的背景の関与が示唆されているが日本人の骨盤臓器脱と遺伝的背景に関する報告は殆どない。我々は、TaqMan SNP Genotyping Assayを用いて骨盤臓器脱患者の末梢血白血球由来DNAを抽出し、コラーゲンtype3遺伝子多型を健常者と比較した。コラーゲンtype3遺伝子のゲノタイプとしてrs1800255、rs1801184の2つを検討したが、骨盤臓器脱患者群と非患者群の差を認めなかった。コラーゲンtype1やエラスチン遺伝子など他のゲノタイプについても検討する予定である。また、骨盤臓器脱患者のQOL調査を過活動膀胱症状質問票やP-QOL(骨盤臓器脱に関連するQOL質問票)を用いて行った。骨盤臓器脱手術後には頻尿・尿意切迫感などの蓄尿症状や尿勢低下・排尿困難感などの排尿症状が有意に改善を認めたが腹圧性尿失禁や夜間頻尿に関しては術前後で改善を認めなかった。また、それらの基礎的裏付けを得るため、骨盤底脆弱性に起因する腹圧性尿失禁モデルとして出産擬似ラット(腟急性拡張)にくしゃみを誘発することで腹圧を上昇させ、トラマドールを用いてその際の尿道機能評価を行った。骨盤臓器脱患者の尿道機能の障害機序として、骨盤底の形態学変化のみでなく神経学的変化(内因性尿道括約筋不全)の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨盤臓器脱の遺伝的発生要因として人を対象とした研究に関して、当初の予定の通りゲノタイプで研究を実施した。さらにゲノタイプを追加して、また被験者を追加し実験をする予定である。骨盤底・排尿機能評価の基礎的裏付けとして腹圧性尿失禁モデルラットを用いて実験を行い、骨盤臓器脱患者の尿道機能の障害機序として、骨盤底の形態学変化のみでなく神経学的変化(内因性尿道括約筋不全)の可能性が示唆されさらに実証のための実験を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
骨盤臓器脱の遺伝的背景について、コラーゲンtype3遺伝子に関して被験者を追加し、またtype1やエラスチンに関する遺伝子についても検討が必要と思われた。今後倫理審査委員会の追加承認を得て、研究を遂行する予定である。遺伝子多型の更なる追加検討と人でのシネMRIやウロダイナミクス検査を用いた骨盤底評価として膀胱尿道機能検査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
倫理審査委員会への追加申請後に追加実験(追加ゲノタイプ)予定で、その開始が遅れているため。また、次年度の海外学会における成果発表に備えて予算を残している。
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Research Products
(5 results)