2018 Fiscal Year Research-status Report
視空間認知機能に着目した高齢者の易転倒性予測:多次元的評価と脳内基盤の解明
Project/Area Number |
17K13063
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
高宮 尚美 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (70723469)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 視覚誘発電位 / 易転倒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器の障害により要介護になるリスクの高いロコモ症候群が注目されている. 高齢者の易転倒性は,1)視空間認知機能の低下,2)身体・物体中心座標系の機能低下,3)自己移動感覚認知の低下による可能性がある.しかし,これらがどういう影響を及ぼすのか,また, その相互作用の詳細は不明である.そこで,健常若年者と健常高齢者を対象に,自己運動知覚(optic flow, OF)刺激による, 行動指標,視覚誘発電位(Visual evoked potentials, VEP),重心動揺検査を行い,姿勢制御に関わる神経基盤の解明と加齢の影響を検討する.OFとは,放射状に生じる奥行きのある拡大運動であり,このような視覚刺激を観察すると自己身体が移動しているような錯覚が生じ,この現象を視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)という.ベクションと姿勢制御に関する先行研究では,ベクションが大きいほど姿勢変位が大きくなると報告されている.本研究により身体機能が正常であっても,視覚認知機能低下による転倒リスクが高い高齢者の予測が可能となり,新たな治療介入手段の導入に貢献できる. 実際には,まず刺激呈示ソフトウェアを完成させる.その後,健常若年者と健常高齢者を対象に3つの実験,実験1: VEP検査,実験2: 座標系に対する行動学的検査,実験3: ベクションに関わる重心動揺検査,を行う. データの集積とデータの統計学的解析を行い,視空間認知機能,座標系の機能,ベクション認知が加齢による影響を受けるのかどうかを検討する.さらに3つの実験間で結果を比較して,易転倒性に上記3要素が並列的に関与するのか,あるいは階層的に関与するのか明らかにする.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,高齢者34名のVEPおよび神経心理学的検査(Japanese Version of The Montreal Cognitive Assessment, MOCA-J. Wechsler Memory Scale-Revised, WMS-Rのうち文章記憶の即時・遅延想起),運動耐容能検査(6-Minute Walk Test, 6WMT)の分析を行った.その結果,高齢者のVEP成分と神経心理学的検査,MOCA-J, WMS-R, 6WMTに関連性が見出すことができた.今後は,座標系に対する行動学的検査およびベクションに関わる重心動揺検査の結果の分析を進め,健常若年者との比較等を行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則って研究を推進し,研究内容を一層深め成果発表を行う.
|
Causes of Carryover |
平成30年度までに,データの集積および分析を行った.平成31年度は,さらにデータの分析を進めるとともに成果発表を行い,必要に応じて追加実験を行う.
|
Research Products
(1 results)