2017 Fiscal Year Research-status Report
rTMSの脳卒中後うつ改善効果と神経可塑性関連物質との関係性の調査
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17K13070
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
新見 昌央 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30760970)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳卒中後うつ / 神経可塑性 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳由来神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、はじめに脳卒中後うつに関する評価法について検討した。脳卒中後うつ患者の選定基準として、当初、Zung Self Depression Scale において40 点以上である者を脳卒中後うつ状態とすることとした。慢性期脳卒中患者80名について、Zung Self Depression Scaleでうつ状態を評価したところ、平均値は27.8±7.2で40点以上は4名であった。このため、Zung Self Depression Scaleでは感度が低く、研究対象者が得られ難いことが判明した。そこで、10点以上でうつ状態と判定されるBeck depression inventoryを使用して、慢性期脳卒中患者80名のうつ状態を評価したところ、平均値は6.5±6.0で10点以上は17名であった。この結果、脳卒中後うつ状態評価のためにBeck depression inventoryを使用することによって、比較的軽症の脳卒中後うつも研究対象に組み入れることができると考えられた。 また、脳卒中後うつに対する反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)の施行方法について検討した。一般的にうつ病患者では背外側前頭前野に対してrTMSを施行することが多いが、一次運動野へrTMSを施行しても血中の脳由来神経栄養因子が増加することが判明しているため脳卒中後うつの改善効果が期待できると考えた。実際に、Beck depression inventoryを評価法として脳卒中後うつと判定される研究対象者17名に対して一次運動野へのrTMSを施行したところ、治療前後でBeck depression inventoryの有意な改善を認めた。また、研究対象者全例で治療前後の血液検体を採取し凍結保存することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の時点で、脳卒中後うつ患者17名に対して反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)を施行することができており、血液検体も採取できている。次年度には目標症例数に達する見込みであり、凍結保存している血液検体の測定も予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
脳卒中後うつ患者に対する反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)を継続し、症例数の更なる確保を図る。 また脳卒中後うつの判定にはZung Self Depression ScaleやBeck depression inventoryなどの評価法が主体であるが、重症度を反映するような客観的指標が使用できないか検証したい。
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Causes of Carryover |
目標症例数の検体採取がおおむね順調に進められており、次年度には血液検体について血清濃度測定を行うことができると考えられるので、それに伴う諸費用が必要となる。 具体的には吸光マイクロプレートリーダー、神経可塑性関連物質のELISA測定キットを購入し、神経可塑性関連物質の血中濃度測定を予定している。
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Research Products
(1 results)