2021 Fiscal Year Research-status Report
rTMSの脳卒中後うつ改善効果と神経可塑性関連物質との関係性の調査
Project/Area Number |
17K13070
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
新見 昌央 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30760970)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反復経頭蓋磁気刺激治療 / 脳卒中後うつ / 神経可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象とした30歳から90歳の慢性期脳卒中患者のうち、62名に対しては14日間のリハビリテーション治療と反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)の併用療法を行った。rTMSは1Hzの低頻度刺激を健側大脳の一次運動野に対して施行した。対象患者のうち、33名に対しては14日間のリハビリテーション治療のみ行った。いずれの群においても、治療前後のうつ状態の評価をBeck depression inventory(BDI)にて行った。 治療前後に対象者から血液検体を採取し、血清を凍結保存した。2019年度の研究実績報告で示したNMDA受容体関連物質のほか、凍結した検体を使用して、別の日に血清トリプトファン濃度、血清キヌレニン濃度の測定を行った。 その結果、いずれの群でも治療後に血清トリプトファン濃度、血清キヌレニン濃度、血清キヌレニン/トリプトファン比は微増していた。rTMS併用リハビリテーション治療群のうち、rTMSを右脳に施行した群では血清トリプトファン濃度は減少していた。一方、rTMSを左脳に施行した群では血清トリプトファン濃度は上昇した。また、血清キヌレニン/トリプトファンはrTMSを右脳に施行した群において上昇した。rTMSを併用せずにリハビリテーション治療のみを行った群、右脳へのrTMS刺激を併用してリハビリテーション治療を行った群ではBDIでうつ症状が有意に改善していた。左脳へのrTMS刺激を併用してリハビリテーション治療を行った群ではBDIの有意な改善を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)による脳卒中後うつ改善効果とNMDA受容体関連物質および、血清キヌレニン経路関連物質との関係性について明らかにすることができた。本研究の目的である「rTMSの脳卒中後うつ改善効果と神経可塑性関連物質との関係性の調査」を果たす、十分な研究結果が得られていると考えられる。2020年度は海外留学中にて実績報告の機会がなかったが、以下の査読付きの英文誌2本に研究成果を発表している。M Niimi, et al. Acta Neuropsychiatr.2020;32:1-22., M Niimi, et al. Neuroreport. 2020;31:629-636.
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Strategy for Future Research Activity |
対象患者を増やせないか検討する。
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Causes of Carryover |
研究結果を学術集会や論文で発表する予定である。学会参加費用や論文投稿費用、英文校正費用に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)