2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患のサルコペニア患者における呼吸リハビリテーションプログラムの開発
Project/Area Number |
17K13076
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
三川 浩太郎 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (20554611)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸リハビリテーション / サルコぺニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)のサルコペニア患者に対する,身体活動性の向上を目的とした患者教育,効果的に筋量を改善する運動療法,積極的な栄養補助療法を組み入れた呼吸リハビリテーションプログラムを確立することである. その研究目的を達成するために,平成29年度および平成30年度の研究計画は,COPDのサルコペニア患者の患者背景を調査することと設定している.その中で,平成29年度は,予備的研究として,外来通院中のCOPD患者の患者背景を調査した.検討項目は,身体組成は除脂肪体重指数(FFMI),身体活動性は1日あたりの平均歩数(歩数/日),栄養評価はMini Nutritional Assessment (MNA),健康関連QOL(health related quality of life:HRQOL)はCOPD assessment test(CAT)を調査した.その結果,FFMI(fat-free mass index:FFMI)は,身体活動性,栄養状態,HRQOLと相関関係を認めた(p<0.05). 以上のことより,FFMI は筋量を反映すると考えられるため,COPD患者の筋量は,身体活動性や栄養状態に影響する可能性が示唆された.これは,今後の研究課題であるCOPDのサルコペニア患者の患者背景を調査する上での重要な基礎データが得られただけでなく,本研究を実施するうえでの効率性や方法論に関する情報も得られた.そのため,平成30年度は,複数の協力施設にてCOPD患者の患者背景を調査し,他の調査項目に関しても検討する予定である.また,平成29年度では,それらの研究協力施設における研究倫理審査の承認を得ることができ,研究協力者との研究体制を構築することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究結果より,COPD患者の除脂肪量は,身体活動性や栄養状態に影響することが想定できたため,身体活動性の向上や栄養状態を改善させることで,COPDにおける筋量低下を予防・改善できる可能性が示唆された.今年度の研究内容は,当初の計画通り,予備的研究として行った調査ではあるが,上記の成果が得られた点は十分に満足行くものであった.ただ,今回調査した除脂肪量は,市販されている簡易的な体組成計で測定した除脂肪量(あくまでも参考値)であるため,精確に測定した骨格筋量の調査をする必要性がある.つまり,以上の点を総合的に判断した結果,現在までの研究の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究課題として,調査項目にサルコペニアの診断指標である骨格筋量が含まれていない点が挙げられ,平成30年度に追加調査を実施する必要があると考えている.この点に関しては,骨格筋量を測定可能な体組成計を購入していない時期に本研究の予備的研究として行ったため,想定内である.現在は調査を開始している. 一方,平成29年度の研究成果として,市販されている簡易的な体組成計で測定した除脂肪量ではあるが,COPD患者の筋量は,身体活動性や栄養状態に影響することが推察されたことである.そして,予備的研究として行ったため,本研究を実施するうえでの効率性や方法論に関して確認することができたことである. よって,平成30年度は,骨格筋量を測定し,COPD患者をサルコペニア群と非サルコペニア群に分け,両群における調査項目の結果を比較することにより,COPDのサルコペニア患者の特性を明らかにし,COPDのサルコペニアを生じる要因を検討していく予定である.そして,複数施設にて調査を開始する予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究協力者に対する謝金が必要なかったため,未使用額が生じた.次年度は,本格的に協力施設における調査を開始する.そのため,研究協力施設との連絡会議(研究打ち合わせ)の実施費用としての旅費,研究協力者のへの謝金を計上する.さらに,情報収集ならびに成果発表としての旅費も必要となる.
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Research Products
(26 results)