2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の転倒予防に向けた加速度歩行パラメータの解明
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17K13082
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
大坂 裕 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90550385)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歩行 / 加速度 / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の歩行能力の把握や転倒リスク管理の徹底化に寄与できる加速度歩行分析システムの構築を目指して、歩行中の体幹加速度信号と歩行中の下肢の関節角度や関節モーメントとの関連を明らかにすることである。 平成29年度(1年目)は、歩行中の下肢の関節角度の制限が歩行中の体幹加速度および体幹加速度から算出される歩行パラメータへ及ぼす影響を検証するため、関節可動域制限を調節して付加することのできる実験用下肢装具を作製した。健常者を対象に、実験用短下肢装具を装着させ足関節の可動域制限を付加させた歩行動作を三次元動作解析装置と加速度計を用いて計測した。足関節背屈制限を付加させた条件と付加させない条件では、歩行中の立脚後期における鉛直成分床反力パターンに変化が生じることが示され、歩行中の体幹加速度も床反力に対応して同様の変化を示すことが明らかとなった。この結果は、鉛直方向体幹加速度信号の自己相関関数により算出した歩行パラメータの変化が、どのような機能障害により生じているかを示す基礎的根拠になると考える。 現在では、地域在住高齢者の歩行データ収集に着手している段階である。今後は引き続き地域在住高齢者の転倒歴と将来的な転倒の有無、その他身体的情報や環境に関する情報を併せて収集し、歩行中の体幹加速度から算出した加速度歩行パラメータが転倒とどのように関連しているかを明らかとし、将来的な転倒リスクを評価できる加速度歩行分析システムの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の当初の予定では、足関節の関節可動域制限を付加する実験用短下肢装具を使用したデータ収集に加え、膝関節と股関節の関節可動域を調節できる実験用膝装具、股装具を用いたデータ収集を行う予定であった。しかし、実験用装具の作製に時間を要したため、膝装具、股装具を用いたデータ収集を今後行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験用短下肢装具による足関節背屈制限を付加させた歩行にて、歩行中の体幹加速度が変化を示し加速度歩行パラメータに影響を及ぼすことが明らかとなった。今後は引き続き加速度計を使用した地域在住高齢者の歩行動作の計測を実施し、加速度歩行パラメータと転倒との関連を検証する。また、実験用膝装具と股装具を使用し、三次元動作解析装置による歩行データ収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の成果発表の場である学術大会が平成30年度に行われるため、その参加費が執行されていない。また学術大会での発表後に論文投稿を検討しているため、投稿にかかる諸費用(英文校正代金、掲載料金等)が執行されていない。 平成30年度は地域在住の高齢者の歩行データ収集および健常者を対象とした歩行データ収集を行う予定である。そのため、次年度研究費は調査研究出張旅費、実験計測装置の補充に使用する予定である。また、実験成果を発表するための学会出張旅費、論文投稿料にも充当する予定である。
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