2017 Fiscal Year Research-status Report
Novel rehabilitation training using the newly developed upper limb wearable robot for patients with brachial plexus injury
Project/Area Number |
17K13084
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
久保田 茂希 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 嘱託助手 (90763798)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腕神経叢損傷 / 肋間神経移行術 / ロボットリハビリテーション / Hybrid Assistive Limb |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、腕神経叢損傷における肘関節屈曲再建術である肋間神経移行術に対して、ロボットを用いた新たなリハビリテーション技術を確立することである。本目的を達成するべく、交通外傷などにより腕神経叢損傷を受傷し肘屈曲再建術(肋間神経移行術)が施行された症例に対して、術後肘屈曲筋である上腕二頭筋が筋力[1](筋収縮が起こる程度)に達した時点から、上肢ロボットを用いたバイオフィードバック訓練を実施している。上腕二頭筋が筋力[1]の時点で、上肢ロボットが上腕二頭筋皮膚表面の微弱な筋活動電位を検知可能なことを確認した。肘に装着した上肢ロボットは、検知した上腕二頭筋の筋活動情報を利用して、肘関節屈曲動作を患者本人の肘を曲げようとする運動意思のタイミングと同時に肘屈曲動作をサポートすることができた。これまでの通常のバイオフィードバック装置では、上腕二頭筋の筋活動を検知しその筋活動波形を患者本人が直視し、その波形出現タイミングを習熟訓練するといったものであるが、上肢ロボット訓練では、患者が自力にて肘屈曲動作ができない筋力[1]の段階から実際に患者の肘関節を屈曲し得るため、術後神経回復の一助として機能している印象がある。また、肋間神経は本来呼吸筋であり本神経を肘関節屈曲に使用するには、中枢神経系の変換が要求されるため、実際に肘関節が屈曲することは、中枢神経系の機能転換に対してもその機能回復の一助になっているものと推察する。実際の上肢ロボットを用いた訓練回数は、週1回もしくは2週1回の頻度で、筋力[3]に到達するまで、合計10~34回、外来通院にて実施した。訓練1回の所要時間は、評価を含み90分程度だった。1回の訓練では、適宜、休憩を挟みながら、肘関節屈曲動作10~20回を5~10セット実施した。現在までに3症例が上肢ロボットを用いたバイオフィードバック訓練を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腕神経叢損傷肘屈曲再建術(肋間神経移行術)後の3症例に対して、上肢ロボットを用いた肘屈曲バイオフィードバック訓練を実施し、全例で重篤な有害事象なく安全に上肢ロボットを用いた訓練を実施可能だった。本3症例は後観察期である介入後フォローアップ評価を終了し、研究完了している。現在は、肋間神経移行術を施行した2症例に対して、上肢ロボットを用いた訓練を継続中である。現在までに重篤な有害事象は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに3-5症例を新規対象として、今年度と同様に上肢HALを用いたバイオフィードバック訓練、評価を実施する予定である。訓練頻度は、今年度と同様に週1回~2週1回の頻度とし、訓練1回につき肘関節屈曲・伸展動作を10~20回、5~10セット実施予定とするが、疲労度を考慮し、回数、セット数を適宜、調整していく。肋間神経移行術は年間およそ3~5件程度であり、症例数が乏しいことが危惧され、研究が当初の計画通りに進まないことが予想されるが、引き続き当大学整形外科関連病院に通知し、術後のリハビリテーションを当院リハビリテーション科で実施できるよう症例の受け入れ体制を、整備・強化し、対応する予定である。また、今年度に実施した対象者の訓練期間中の評価結果、フォローアップ評価結果をまとめ、学会報告、論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に投稿を予定していた国際学会、国内学会への抄録投稿を症例数不足により断念したため、旅費での大幅な実支出額の減額があった。昨年予定していた国際学会、国内学会での学会発表を果たし次年度の使用計画とする。
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Research Products
(4 results)