2018 Fiscal Year Research-status Report
血液透析患者の健康寿命を延伸させる腎臓リハビリテーション戦略の確立
Project/Area Number |
17K13097
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河野 健一 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (10638480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血液透析 / 健康寿命 / 医療入院 / 身体機能 / 身体活動 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、血液透析患者の健康寿命の喪失、ならびにそれに強く関わる医療入院の実態を調査し、運動療法と運動指導を介した身体機能の維持が健康寿命の延伸に寄与するかを明らかにすることを目的としている。昨年度からの進捗は、観察対象を1140例まで増加した点である。多施設共同研究として前向きコホートを継続しており、アウトカム(健康寿命の喪失、医療入院の発生)の確認を継続している。健康寿命の喪失の定義は、客観的概念規程である日常生活動作が自立している期間とし、要介護2以上となった場合に健康寿命の一次的喪失とした。また、医療入院は、心疾患、末梢血管疾患、脳卒中、整形外科疾患、感染症、その他にて1週間以上の入院療養を必要としたものと定義した。そして、運動療法や運動指導を実施した患者かどうかの選別は、3ヶ月以上透析中の監視型運動療法もしくは在宅での非監視型運動療法を継続したかを判断の基準とした。 2018年度の研究成果として、観察対象の1140例を対象とした横断的な解析において、年代別の栄養状態、身体機能の基準値を算出した。また、健康寿命喪失の危険性が高いと推察されるサルコペニアの患者は、Geriatiric Nutritional Rsik Indexと血清リン濃度を複合的に評価することで、低栄養状態の検出力を高められることを明らかにした。これらの成果は、第9回日本腎臓リハビリテーション学会、第9回透析運動療法研究会にて公表し、現在原著論文として投稿済みである。さらに、透析中の監視型レジスタンス運動によって身体機能が改善することを報告した(BMC Nephrology in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の目標を大幅に超える観察対象数を確保した上で、アウトカムの観察を進められている点は、当初の計画以上に進展している点である。しかしながら、当初の予定では健康寿命を脅かすサブアウトカムとして、転倒、ADL低下をも調査する予定をしていたが、多施設共同にて観察対象を拡大したことでそれらの調査が困難となった。現在は、健康寿命の一次的喪失、医療入院の出現にアウトカムを限定し観察を進めている。また、運動療法や運動指導を実施した患者において健康寿命を延伸しうる効果があるかどうかの確認の開始が、当初の2018年4月の予定より遅れた。 以上より、研究全体を俯瞰した進捗状況の区分としては、おおむね順調に進展しているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、夏頃までアウトカムの観察を継続し、その後は既存の観察症例において、データクリーニングを丁寧に実施し、データ解析を進めていく。 また、2019年9月、2020年2月、3月に本研究の成果を公表するための学会への招請講演が決まっており、成果を広く公表していく。そして、国際誌への原著論文の作成を順次進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究協力機関との打ち合わせの回数が予定回数より1回少なかったため、その分の旅費の未使用によるものである。翌年度は原著論文を国際誌に多く投稿する予定であり、またオープンジャーナルにも投稿する予定のため、英語校正や論文掲載の費用に活用する予定である。
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