2019 Fiscal Year Research-status Report
血液透析患者の健康寿命を延伸させる腎臓リハビリテーション戦略の確立
Project/Area Number |
17K13097
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河野 健一 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (10638480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎臓リハビリテーション / 運動療法 / 運動習慣 / 歩行速度 / 健康寿命 / 死亡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、それまで実施してきた前向きコホートの継続と解析を進めた。 アウトカムに当初計画の健康寿命の喪失、医療入院だけでなく、全死亡を加えた。腎臓リハビリテーション戦略を確立するにあたり、身体機能の改善を目的とした集中的な個別介入、もしくは、日頃からの運動習慣の獲得を目標とした介入、のいずれが効果的かを検討した。 2017年度の検討においてサルコペニア・フレイルの患者は健康寿命(歩行能力)を喪失しやすいこと、2018年度の検討においてサルコペニアの背景には低栄養が関与し、そして、年代別に算出した身体機能の基準値より、高齢透析患者ほど身体機能の低下が著しいことを明らかにした。そして、サルコペニアやフレイルの改善には、個別的な身体機能低下に対する運動療法として、スローレジスタンストレーニングが効果的であることを論文として公表した(Moriyama Y, Hara M, Ishikawa H, Kono K, et al. 2019)。 それらの成果に加え、2019年度は新たに個別的な運動療法だけでなく、日頃から運動習慣が身についているかどうか、そして、日頃の歩行速度が全死亡に関連するかを検討した。その結果、運動習慣の有無、日頃の歩行速度が1.0km/秒を上回っているかどうかはいずれも死亡率に強く影響する要因であることが明らかとなった。つまり、サルコペニアやフレイルに陥りそれに対する身体機能改善を目的とした個別的な運動療法だけでなく、透析導入後、より早期の段階から運動習慣を獲得し、日頃の歩行速度を高く保つような日常生活活動に対する指導も腎臓リハビリテーション戦略として重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では、本研究計画は2019年度までの計画であったが、2020年度まで事業期間の延長申請を行った。その理由として、健康寿命や医療入院の観察を担当していた研究協力者の2名のうち1名の協力を得ることが困難となり、データベースの確認作業やアウトカムの発生状況の確認に当初の想定より時間を要することとなったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、対象患者の属性や身体機能を層別化しつつ、身体機能の改善を目的とした集中的な個別介入の必要性、そして、より早期に運動習慣を獲得する必要性といった腎臓リハビリテーション戦略がもたらす健康寿命や医療入院への効果を解析し、検証する。そして、2017年度からの研究成果を総括し、本研究課題の最終的な成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
2019年3月に参加を予定していた学会が新型コロナ感染症拡大に伴い中止となり、旅費、参加費等の支出がなくなったことが理由としてあげられる。本研究成果において未だ論文公表できていない内容について、2020年度に論文校正費用や投稿費用として使用する。
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