2020 Fiscal Year Research-status Report
簡便かつ非侵襲的な神経活動修飾による運動機能改善の試み
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17K13112
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中川 剣人 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (80735457)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRI / 神経活動修飾 / motor variability |
Outline of Annual Research Achievements |
非侵襲的神経活動修飾法により運動制御能力を改善させる本研究課題において、本年度は実験モデルとなる運動課題の検討、および介入対象となる脳領域の検討を行った。まず、運動課題においては、最大把持力の20%の力を標的に、利き手による瞬間的な把持力発揮を行う課題を設定した。発揮した力と標的の力レベルとの誤差を定量し、誤差の試行間変動を変動係数で表し、主要な評価指標とした。20名の健常成人を対象にしたところ、変動係数の個人差が30%程度見られた。次に、この変動係数の個人差と関連する脳領域を検討するため、同じ参加者の脳構造をMRIにて全脳のT1強調画像を撮像し、voxel based morphometryによる解析にて、各脳領域の灰白質量を定量し、力発揮の変動係数と灰白質量に相関関係がある脳領域を検討した。結果として、力発揮のばらつきと灰白質量との間に正の相関関係(P < 0.001, uncorrected)を示した脳領域は、体性感覚連合野、上側頭回、側頭回、帯状回であった。つまり、これらの領域の灰白質量が多いほど、力のばらつきが大きいといえ、神経ノイズを発生させる領域である可能性が考えられる。一方、力発揮のばらつきと灰白質量との間に負の相関関係(P < 0.001, uncorrected)を示した脳領域は、運動前野(図1)、海馬、上前頭回、被殻であり、これらの領域は安定した力発揮に寄与する可能性がある。ただし、上述の結果は、Family-wise Error (FWE) correction による多重比較補正を行っていないため、今後、サンプル数を増やし、頑健な統計結果を得る必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス拡大によって実験参加者をリクルートすることが難しい期間が長く、MRI解析においては、結果的に頑健な統計処理に耐えうる結果を得られなかった。そのため、介入対象を確定できず、介入実験も未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
MRI実験の参加者を増やし、運動課題パフォーマンスと関連する脳領域を頑健な統計処理によって確定させ、その脳領域に対して非侵襲脳刺激による介入を行い、運動課題の変容を観察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス拡大に伴い、当初の計画通りに実験実施を行うことができなかったため。
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Research Products
(4 results)