2018 Fiscal Year Research-status Report
体育教師教育におけるICT活用指導力育成プログラムの開発に関する基礎的研究
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17K13121
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
木原 慎介 東京国際大学, 人間社会学部, 講師 (80773382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ICT活用指導力 / 体育教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は保健体育科という教科の特性に着目し、体育教師教育におけるICTを活用した指導力の育成・向上の在り方について検討し、ICT活用指導力育成プログラムの開発に向けての基礎的資料を得ることを目的としている。 4年間の研究計画のうち2年目に当たる本年度(2018年度)は、前年度実施のアンケート調査から得られた回答データの分析作業およびその結果を公表した。主な結果は次のとおりである。1) 体育授業の教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用すること、体育授業においてICTを活用して指導すること、体育授業において生徒のICT活用を指導することは保健体育科の教員養成や教員研修において育成・向上を図るべき共通項目である。2) 教員養成においてはICTを活用して指導することの必要感、基本的なICT機器の操作能力、授業を設計する力とあわせて、活用する経験を積みながら育成を図る必要がある。3) 教員研修においては、体育授業の活動場所、天候、運動種目の特性などを踏まえて様々なICT機器を適切に使い分けながら、知識、技能、思考判断の学習にバランスよく活用していく力とともに、各教師個人の状況やニーズに応じた多様なプログラムで研修を進めることが求められる。 これらの結果に関しては、第69回日本体育学会(2018年8月、徳島)、第7回東アジアスポーツ教育学会(2018年6月、台湾)、東京国際大学論叢人間科学・複合領域研究第4号(2019年3月)にて公表した。併せて、国内各地における各種の研修会、研究大会や、海外(アメリカ、韓国)における大学訪問、学校体育授業視察を実施し、ICT活用指導の実際や動向について広く見聞した。 次年度については、体育教師が抱く課題を探索的に研究するとともに、国内外における実地調査も継続的に実施し、ICT活用指導力の育成・向上策を検討する上での知見を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ICT活用指導力育成プログラムの開発に向けての基礎的資料を得ることを目的として、4年間の研究計画を立て遂行するものである。 研究2年目に当たる本年度(2018年度)は、当初の計画通り昨年度に実施した調査1(体育教師のICT活用指導力チェックリスト)および調査2(体育教師のICT活用指導に関連する認識に関するアンケート)で回収したデータの分析作業を進めた。具体的には、大学生、現職教師、教師歴等を変数とした比較分析や、体育授業におけるICT活用指導力に関連する内容分析を行い、ICT操作力、授業設計力、経験、関心や認識の程度といった具体的項目について検討することができた。その結果については、学会(日本体育学会、東アジアスポーツ教育学会)での発表および雑誌論文(東京国際大学論叢)への投稿を予定通り実施することができた。次年度実施予定の調査3(体育のICT活用指導力育成に関する体育教師へのインタビュー調査)に向けての準備としては、本年度のアンケート調査から得られた教師の課題感についてさらに探索的な検討を加えたうえである程度の仮説を構築し、それに基づきながら現職の体育教師に対するインタビューを進めていくという研究プロセスについて確認することができた。したがって、概ね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、次年度(2019年度)は、まず調査2(体育教師のICT活用指導に関連する認識に関するアンケート)で得られた体育教師が抱くICT活用指導に対する課題感について探索的な検討をした上で、調査3(体育のICT活用指導力育成に関する体育教師へのインタビュー調査)を当初の計画通り進める。具体的には、半構造化インタビューという手法を用い、アンケート調査(調査2)から見えてくる体育教師が抱くICT活用指導に対する課題感の特徴や傾向をもとにしたある程度のインタビュー項目を設定した後、数名の現職教師に対してインタビューを実施する。以降、その課題感の深層を明らかにすることで今後のICT活用指導力の育成・向上策を検討するための資料の一つとする。 体育教師が抱くICT活用指導に対する課題感に関連する成果は学会発表(日本体育学会、東アジアスポーツ教育学会を予定)や雑誌論文(東京国際大学論叢)での公表を予定している。併せて、調査3のインタビュー調査で得られたデータの分析作業を進める。 また、国内外における体育授業に関連する各種研修会、研究会、研究大会、研究発表会、体育教師教育に携わる大学訪問、学校における体育授業の視察等も継続的に実施し、最終年度(2020年度)に計画している体育教師教育におけるICT活用指導力育成プログラム開発のための基礎資料作成に向けての検討材料とする予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の使用予定経費については4年間の研究期間のうち最も大きく、そのなかで69,677円の次年度使用額が生じたものである。当該年度使用予定経費の94.2%は予定通り使用しているため、生じたその額は想定される誤差の範囲内であり概ね計画通りの使用である。 一方、次年度の使用予定経費については4年間の研究期間のうち最も小さいため、当該年度に生じた次年度使用額は次年度分の経費に上乗せして請求することとする。なお、それに伴う次年度経費の使用計画については特に大きな変更はない。
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Research Products
(3 results)