2020 Fiscal Year Research-status Report
体育教師教育におけるICT活用指導力育成プログラムの開発に関する基礎的研究
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17K13121
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
木原 慎介 東京国際大学, 人間社会学部, 講師 (80773382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COVID-19パンデミック / オンライン体育 / アクションリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は体育教師教育におけるICTを活用した指導力の育成・向上の在り方について検討し、ICT活用指導力育成プログラムの開発に向けての基礎的資料を得ることを目的としている。当初の計画では、2020年度は現職の体育教師、教育行政関係者を対象としたICT活用指導力育成に関するインタビュー調査・分析をする予定であった。 しかしながら、COVID-19パンデミックの到来により、学校一斉休校と同時にオンライン授業化への動きが急速に高まった状況を踏まえて、調査内容を「オンライン体育(以下、OLPE)に関する現状と課題」に焦点化してインタビュー調査・分析をすることとした。その結果、環境的問題、組織的問題、教師の力量的問題などがあることが明らかとなった。これらは、結果的に本研究の目的にもつながる重要な知見となった。 その中でも特に、「OLPEは試みているものの一方的な動画配信に止まっており体育の学習としてどう指導したらよいのか分からない」などといった教師の戸惑いに対して何らかの支援を講じることは喫緊の課題の一つであると捉えた。そこで、新たにOLPEのプロトタイプ開発プロジェクトを立ち上げ、複数の公立中学校体育教師との協働的アクションリサーチによって各学校や教師の現状に対応したOLPEのプロトタイプ開発を実践的に試みた。現在は分析途中であるが、OLPEの具体的な授業事例が得られたとともに、学習効果や指導上の利点などが見られた一方で、体育学習としての限界点や教師にとっての課題(特に時間的な問題)なども浮かび上がっている。 これらの結果の一部については、第25回日本体育科教育学会、体育科教育2021年3月号、年報体育社会学第2巻において発表した。また、中学校保健体育新3観点の学習評価完全ガイドブック(2021年6月発刊予定)にて発表することが確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも触れた通り、COVID-19パンデミックの到来に伴う学校現場が直面した問題を踏まえ、新たな調査内容(学校のオンライン体育に関する現状と課題)に関するインタビュー調査・分析を実施した。更にはその結果に基づく実践研究(OLPEのプロトタイプ開発プロジェクト)を加えた。全ての分析を完了したわけではないが、現段階で得られた知見の一部は本研究の目的にもつながるものとなっている。 研究期間の延長が承認されたことから、2021年度(最終年度)については本プロジェクトの詳細な分析を完了させるとともに、体育教師教育におけるICTを活用した指導力の育成・向上の在り方という観点からこれまでの研究の成果と課題をまとめる中で、次の研究課題に向けた準備を行う予定である。したがって、概ね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(研究期間の最終年度)については、オンライン体育のプロトタイプ開発プロジェクトの分析作業を進め、対面授業が再開する中でいかにオンラインを含むICT活用を進めていくのか、教員研修や教員養成段階においては何をどのようにプログラムしていけばよいのか、といったことを考察していく予定である。 これらの成果は学会発表や論文(学位論文)等での公表を予定している。また、COVID-19の感染拡大状況にもよるが、国内外における体育授業に関連する各種研修会、研究会、研究大会、体育教師教育に携わる大学訪問、学校における体育授業の視察等も場合によってはオンラインを通してなど継続的に実施する。 また、これらの知見を「体育教師教育におけるICT活用指導力育成プログラム開発」のための基礎資料とし、次の研究段階に向けた課題設定及び計画立案を行う(新規科研費申請)予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックの影響により各種学会がオンライン開催となったり、各種研究会参加や授業視察などのフィールド調査が延期または中止になるなど予定支出に変更が生じたことによる。これらについては新たに加えたオンライン体育に関するプロジェクト研究に係る経費(物品費、謝金、その他など)、また、社会状況に応じて学会、各種研究会、授業視察(フィールド調査)などに係る経費(旅費)に使用する計画である。したがって、使用額の項目に関しては当初の計画に特に大きな変更はない。
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Research Products
(5 results)