2018 Fiscal Year Research-status Report
力発揮調整能は脊髄α運動ニューロンの興奮性変化と連動する
Project/Area Number |
17K13129
|
Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
関 和俊 流通科学大学, 人間社会学部, 准教授 (30552210)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 力発揮調節能 / 脊髄α運動ニューロン / 運動習慣 / 加齢 / F波出現頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
力発揮調節能と脊髄の興奮性との関わりを検討するため、運動(トレーニング)習慣の有無の若年者および高齢者に対して、3つの実験(力維持時のF波の変化(基礎)、力増減時のF 波の変化(漸増・漸減負荷)、力調整時のF波の変化(力増大・力減少負荷))を実施している。 実験1: 各目標筋力(20秒間維持)に対する調整力は、若年者および高齢者ともに、運動習慣有群が無群と比べて優れていた。また、運動習慣の有無で比較すると、加齢の影響は観察されない。脊髄の興奮性の指標として用いた誘発筋電図 F波の出現頻度は、目標筋力(20、40、60%強度)の増大に応じて、全ての群ともにF波出現頻度は増大した。また、運動習慣の有無では、若年者および高齢者ともに、運動習慣無群が有群と比してF 波の出現頻度は多かった。力発揮終了後20秒間のF 波の出現頻度は、若年者は安静レベルに戻る一方、高齢者は安静レベルに戻らない。運動習慣の有無の影響はないことから、加齢による影響と示唆される。 実験2:運動課題は目標とする%MVCまで20秒間で達する様に徐々に力を入れ、目標筋力達成後 20秒間で力を抜く掌握運動を行わせた。目標とする%MVCの三角波に対する相対誤差は、低強度(20%)において漸増・漸減時ともに全ての群とも調整力が低かった。高齢かつ運動習慣が無い群は、特に漸減時において調整力が低い傾向であった。若年者のF波出現頻度は、目標筋力(20、40、60%強度)の増大に応じて、運動習慣の有無ともに増大した。また、運動習慣無群が有群と比してF波の出現頻度は多かった。高齢者のデータは解析中である。 実験3:低(20%)強度掌握時から、中(40%)・高(60%)強度、高強度掌握時から、中・低強度に調整する4条件を行わせた。全ての群とも高強度から低強度に調整時の調整力が低かった。F波出現頻度は解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、平成29年度に引き続き、若年者を対象とした運動習慣の有無が力発揮調節能と誘発筋電図F波に及ぼす影響について検討を行った。また、力増減時の誘発筋電図 F 波の変化(漸増・漸減負荷実験)、力調整時の誘発筋電図F波の変化(力増大・力減少負荷実験)を実施した。また、加齢差についても検討を行う為、高齢者へ実験依頼を行い、実験を遂行中である。実験対象者への募集も含め、実験日程の調整中であり、全実験終了予定は7月としている。 得られた実験データは、解析が終了していないデータがあり、随時、解析を行っている段階である。また、定期的に共同研究者と意見交流を行っている。さらに、科学雑誌への投稿準備を進めている段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、対象者数(高齢者)を増やし、3つの実験課題を実施中である。全実験は、7月終了予定である。 また、誘発筋電図 F波に得られる振幅F/M比は各神経筋単位の興奮度の状態を、潜時は運動単位の大きさを反映することから、解析項目を増やし、データを詳細に検討する。また、得られた研究成果を共同研究者と討論会を随時行っていく。 さらに、学会発表(年度内3回予定)および学術雑誌に論文投稿を行い、学術的な評価を受ける。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた学会発表が出来なかったこと、また実験対象者の確保に時間を要したため。 学会発表に生じる旅費、実験対象者への謝金、論文投稿料として使用する。
|
Research Products
(1 results)