2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of martial art thought using anthropological method: Case study of Shinkage-ryu
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17K13133
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中嶋 哲也 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30613921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 復元 / 新陰流 / 形 / 実践 / 武術思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は新陰流の道場における形の復元方法を調査すること、並びにその復元方法を基にして学術的な批判に耐えうる復元の方法論を確立することを目的としていた。しかし、コロナ禍で調査地に行くことができなかったため、復元方法の認識論的な基礎づけを行うための哲学的研究を行った。具体的には身体活動を伴う認識の在り様を根本に据えるので、メルロ・ポンティ、ベルクソン、ピアジェなどの著作を検討した。結果的にベルクソン及びピアジェの理論が認識論的基盤になるという手ごたえを得たが、論文化するには至らなかった。また、最終年度は文献研究として、新陰流から派生した起倒流(講道館柔道の前身)の名辞「柔道」の成立過程を明らかにし、『講道館柔道科学研究会紀要』第18輯に発表した。「柔道」という名辞は起倒流の他に松江の直信流にのみ伝わる。両流派の関係は深く、直信流から起倒流へ名辞「柔道」が伝えられたことを指摘した。あえて柔道と呼称するにはそれなりの思想的背景があると考えられたが、両流派の関係を指摘するところまでで研究は終わり、起倒流では「柔道」にどのような思想を込めて使われたのかまでは検討できなかった。 本研究は①形に込められた武術思想、②形の実践方法、③形の復元方法の3点について、新陰流の道場を参与観察することで検討することを目指した。このうち、前2者については論文を発表することができたものの、最後の形の復元方法については論文化するには至らなかった。形の復元方法論は今後の課題として残る。
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Research Products
(1 results)