2019 Fiscal Year Research-status Report
パラバドミントン競技者における傷害・疼痛発生予防システムの開発
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17K13134
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藁科 侑希 筑波大学, 体育系, 特任助教 (30757612)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パラバドミントン / ウォーミングアップ / セルフコンディショニング / ルーティン / 傷害予防 / 疼痛予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラバドミントン競技は東京2020パラリンピック競技大会から正式競技に採用され,日本の強化指定選手に対する国際競技力向上のための強化事業が推進されている.しかし,パラバドミントン競技者の傷害や疼痛発生の実態・要因は明らかにされていないのが現状である.これらを明らかにすることは,今後の国際競技力向上のための強化戦略の構築や,サポート体制の充実のための重要な基礎的資料となり得る. 本年度は,昨年度必要性が挙げられた肩関節の疼痛へのアプローチを組み込んだ,新たな傷害・疼痛発生予防のためのルーティンメニューの実施・検討を行った. メニューの立案・実施にあたっては,継続的に実施している国際大会出場時における大会期間中の傷害・疼痛発生記録やコンディショニングアプリを用いた日常的な疼痛発生のセルフコンディショニング記録の結果を参照した.ルーティンメニューは主に,車いす選手用と立位選手用に分け,さらに立位選手は各クラス(SL3,SL4,SU5,SH6)に合わせたものを提供した. 特に肩関節に関しては,いずれの選手にも適応すべき・スクリーニング項目であるとして,肩関節3rdポジションにおける内旋可動域の定期的な確認とその関節可動域の拡大について,具体的な手法を共有することができた. さらに,本手法を強化現場での傷害・疼痛発生予防システムとして導入・促進していくために,来年度は本手法についての効果検証を行い,持続可能かつ有効な手法を検討する.得られた成果は,来年度に開催される学会等で報告する予定である. また,強化現場における傷害・疼痛発生予防に関するアプローチをはじめとする,選手への包括的な支援について,パラスポーツという視点で独自に改善すべき点が多々あることの示唆を得ることができた.これらの成果は,保健体育教室において報告された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究でのこれまでの取り組みにて,パラバドミントン競技者における傷害・疼痛発生の実態を継続的に記録することにより,その予防に対するアプローチ手法の構築をすることができた.これにより,競技現場での傷害・疼痛発生予防システムの基礎を構築できたといえる. 当初,メディカルチェック(全身関節弛緩性,関節可動域等測定),フィットネスチェック(全身持久力,筋力測定等測定),パフォーマンス評価(高強度運動時の乳酸・心拍数・唾液測定等)について行い,手法提供に関するエビデンス構築を進めることを予定していた.しかし,年間を通じてパラリンピック選手選考レースが行われる特別な年度であり,加えて追加の強化合宿や国際大会派遣を実施していたことから,強化コーチ陣との協議の結果,現場での具体的な手法の共有のみに留まったため研究を予定通りに進めることができなかった. 以上のような理由により,次年度に補完的に具体的手法実施の効果検証を実施することや,これまでのデータとの整合性を振り返り再度検討することになったため,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和2年度は,これまで蓄積したデータの検討の実施,昨年度実施した手法についての効果検証をインタビュー形式のヒアリング調査にて実施する. また本来であれば、東京2020パラリンピック競技大会を効果検証の場としていたが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を受けて延期となったため,次年度の効果検証の機会を個々の選手で調整する必要がある.
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Causes of Carryover |
今年度実施予定であった各種測定を行うことができなかったため,測定・調査データ集計補助の人件費や研究打ち合わせの国内旅費,測定・調査結果のデータ公表に係る国際学会渡航費を伴う活動を見送ったことなどにより,研究経費の残額が生じた. 次年度は,インタビュー形式のヒアリング調査やこれまでのデータ整理やエビデンス構築を行う予定であり,また本研究課題の総括及び研究成果の公表を行う計画であるため,それらを確実に遂行できるようにする人件費や謝金,旅費等として有効な執行を行う予定である.
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Research Products
(1 results)