2018 Fiscal Year Research-status Report
モーションキャプチャを用いた泳動作中の流体力解析システムの構築
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17K13139
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
角川 隆明 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 講師 (00740078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水泳 / 推進力 / 抵抗 / 圧力 / モーションキャプチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
水中モーションキャプチャによる身体の3次元動作分析と、圧力分布計測による流体力分析を併用し、競泳の4泳法における手部での推進力発揮に関する分析を実施した。さらに、同様の方法を用い、クロールを対象として疲労による泳速度低下時の推進力や機械的パワーの変化を分析した。 その結果、競泳の4泳法を対象とした分析では、手部で発揮される推進力には泳者間で差が見られ、泳技能の低い泳者が高い推進力発揮をするケースや、泳技能の高い泳者が低い推進力発揮をするケースも見られた。泳動作では、泳者の身体に働く抵抗力と、泳者が発揮する推進力の差によって泳速度が決定すると考えられてきたが、本研究の結果はこの考えを支持するものとなり、より高い泳速度を達成するには高い推進力発揮だけでなく抵抗力の削減も重要であることが再確認された。また、推進力を定量的に評価することで、それぞれの泳者の課題が推進力を増加させることなのか、抵抗力を削減することなのか、客観的な指標に基づいて考察することができた。また、本研究では泳者の両手部の分析を実施し、左右のストローク動作中の手部に働く推進力や抵抗力の差を評価した。その結果、推進力だけでなく、手部に働く抵抗力に差が見られ、それぞれの泳者において推進を妨げる動作を客観的に明らかにすることができた。 クロールを対象とした疲労による泳速度低下時の分析では、疲労によって泳速度が低下したとき、平均推進力や泳者が手部に働く機械的パワーが減少することが明らかとなった。また、ストローク動作1周期中に発揮する推進力の力積は疲労によって変化しないが、ストローク動作1周期に要する時間が長くなることが確認された。これらのことから、ストローク頻度の低下による平均推進力の低下が、疲労によって泳速度が低下する主な要因として考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度に構築した方法論を用いて、様々な泳法の分析や、技能レベルの異なる泳者の分析を実施することができた。また、それらの分析結果から泳動作を客観的に評価し、技能レベルが異なる要因や、それぞれの泳者における動作の具体的な改善点を提示することができた。そのため、本分析方法を用いて泳動作の分析を実施し、得られた結果のフィードバックを問題なく実施できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで構築してきた方法論を用いて、トップアスリートの泳動作を分析し、得られた分析結果をフィードバックを実施するとともに、より詳細な分析によってトップアスリート固有の技術や動作の特徴を明らかにする。また、これまで収集してきた研究結果をまとめ、研究論文として広く発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた圧力センサーおよび反射マーカーの購入費が少なく済んだため。次年度は研究成果を研究論文として公表するため、英文校正等の費用としての使用を計画している。
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Research Products
(5 results)