2020 Fiscal Year Annual Research Report
Character cultivation through kendo practice and discipline -- A study with the landscape montage technique (LMT)
Project/Area Number |
17K13157
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中島 郁子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (30757729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 風景構成法 / 剣道 / 人間形成 / 修行 / 稽古 |
Outline of Annual Research Achievements |
「剣道」と「人間形成」は、密接に語られてきている。ところが、「人間形成」の想定するところは個人的な主観による表現でしか残されていない。本研究は、「剣道」と「人間形成」との関連を臨床スポーツ心理学的な視点から明らかにしようとする研究である。本研究では、投影法である風景構成法を適用することで、剣道家の精神的な内的世界の特徴(人格像)を検討する。日本の剣道選手の絵と、海外の代表クラスの選手の絵を比較し、日本人特有の精神的特徴、ならびに剣道選手に特化した人間性の特徴を分析する。さらに、現代の剣道家へ半構造化面接を行い、武道の修練によって果たされる「人間形成」のプロセスの全体像を明らかにすることを目的としている。 この研究目的の達成に向け、比較的、剣道が盛んで道場が多数存在し、剣道人口の多い国(タイ、オーストラリア、アメリカ)のナショナルチームメンバーを含む剣道選手、ならびにナショナルチームの指導者に風景構成法を施行してきた。最終年度はヨーロッパの選手に施行を予定していたが、新型ウイルス感染拡大の影響で叶わなかったため、対象者は限られるが、現状でデータをまとめている。関連学会の年次大会も、新型ウイルスの影響で開催中止(日本臨床心理身体運動学会、箱庭療法学会等)となったため、発表することができなかった。描かれた風景構成法のデータからは、中でも、特に山の描き方が特徴的で、海外の剣道選手の人生の目標や選択に対する自由さと、日本選手の枠(ルールや常識)を破らない、枠の中で個性を高める精神性が見て取れる。これらは反則ルールの少ない剣道の選手特有の表現とも考えられる。また、海外の選手のクレヨンの彩色が特徴的で、自分を表現することに躊躇がないさまが表れており、これは剣道の稽古過程の中で培われたとも考えられるが、同時にそのような特徴を有する人が剣道を学ぶことを選択する傾向があるとも考えられる。
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