2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13164
|
Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
篠原 康男 城西大学, 経営学部, 助教 (50755535)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 疾走速度変化 / 数式化 / 加速 / パワー発揮 / 技能と体力 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,加速疾走時のパワー発揮に関するトレーニング方法に着目して検討を進めた。本年度は,異なる傾度での加速疾走時における疾走速度変化と力およびパワーについて,分析を行った。試技内容は,平坦な走路(以下Level)と進行方向の水平距離に対して鉛直距離が2.7%,4.0%,10.4%となる3種類の傾度の走路(以下2.7%SL,4.0%SL,10.4%SL)の上り坂において,スタンディングスタートによる最大努力での上り坂走を行わせるというものであった。その際の疾走速度変化および発揮される力とパワーを測定し,平坦な走路(Level)と比較検討した。分析の結果,平坦な走路(Level)に比べて,傾斜走路では最大疾走速度は有意に低下し,傾度が大きいほど値が小さかった。また,傾度の大きさと最大疾走速度の変化率には有意な正の相関関係が認められた。さらに,パワー発揮特性については,F0(走路に対する水平前後方向への最大水平力)は10.4%SLの方がLevelと2.7%SLに比べて有意に大きく,逆にV0(理論上の最大疾走速度)はLevelの方が10.4%SLに比べて値が有意に大きかった。Pmax(走路に対する水平前後方向への最大水平パワー)には,傾度間で有意な差は認められなかった。以上のことから,少なくとも傾度が10.4%前後の上り坂では,パワー発揮特性が平坦な走路とは異なるものと考えられた。得られた結果を踏まえると,傾度が10.4%の上り坂では,パワー発揮特性が平坦な走路に比べて,力発揮重視となるものと推察された。したがって,傾斜走路を用いる際は,トレーニング目的によって用いる傾度を明確にする必要があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は,走運動におけるパワー発揮能力の評価およびその評価手法を確立することである。本年度は昨年度末に測定した,異なる傾度での加速疾走時における疾走速度変化と力およびパワーの測定で得られたデータの分析を行うことができた。しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大により,その他の活動(主に教育活動)へのエフォートが当初想定していた以上に大きな割合を占めてしまった。そのため,本研究へのエフォートを十分に確保することができず,研究遂行に影響が出たことから,予定していた論文投稿準備や研究全体の総括に向けた準備が難航した。ただ,データの分析はほぼ完了することができ,オンラインではあるものの学会発表を行うこともできた。再度補助事業期間の延長申請を行い,現在はこれまでに得られた研究のデータを含め,それらを論文投稿できるよう,引き続き準備を進めている。以上のことを踏まえ,やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果に関して,加速疾走時のパワー発揮トレーニングに着目し,異なる傾度での加速疾走時における疾走速度変化と力およびパワーについて検討を行った。その結果,傾度が10.4%の上り坂では,パワー発揮特性が平坦な走路に比べて,力発揮重視となるものと推察された。したがって,傾斜走路を用いる際は,トレーニング目的によって用いる傾度を明確にする必要があると考えられた。このことは,傾斜走路を用いて走トレーニングを行う際には,その目的に応じて,傾度を選択する必要があることを示すものであり,本研究の目的にも深く関わるものである。これらの結果を含め,これまでに得られた結果を整理し,傾度が及ぼす影響について引き続き検討を進め,論文投稿の準備を進める。そして,これまでに得られた結果と合わせて,本研究の目的達成を目指す。
|
Causes of Carryover |
昨年度から繰り越した助成金は,本年度に参加した学会の参加費として充当した。ただ,令和2年春に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大やそれにともなう緊急事態宣言が影響し,その他の活動(主に教育活動)へのエフォートが当初想定していた以上に大きな割合を占めてしまい,予定していた論文投稿の準備が遅れた。そのため,投稿にかかわる英文校正および論文掲載料として計上していた費用が繰越金となった。繰り越した助成金は,主に論文投稿の準備費用として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)