2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanical energy flow of the whole body during the golf swing
Project/Area Number |
17K13181
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
高木 斗希夫 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (50592367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 力学的エネルギー / ゴルフスイング / 関節トルク / 関節力パワー / エネルギーフロー / 体幹回旋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ゴルフスイング中の全身の力学的エネルギーの流れを,関節間に作用する力の発生要因も加味して明らかにするとともに,ゴルフスイングを,エネルギー発生能力とエネルギー伝達能力という2つの指標を用いて評価し,各々の能力に優れたゴルフ選手の力学的特徴を明らかにすることを目的とした.ゴルフスイングにおいては,体幹部の回旋運動によって大きなエネルギーを獲得し,これを上肢に伝えることが重要である.平成29年度は,体幹部の回旋運動を生成する力学的要因を明らかにするとともに,特に体幹部・上肢におけるエネルギー伝達の特徴について分析・検討を行った.具体的には以下の活動を実施した.(1)競技レベルの高いアマチュアゴルフ選手16名(handicap : 4.2±1.6)のスイング動作を,3次元自動動作分析装置を用いて計測した.また,2台のフォースプラットフォームを用いて,両足の地面反力を計測した.(2)得られたデータから,ゴルフスイング中の体幹部の回旋運動を生成する動力学的要因(下肢各関節トルクや運動依存力等の貢献度)を定量化し,体幹部回旋に寄与する下肢各関節トルクの機能について検討した.その結果,ゴルフスイングにおいて大きなエネルギーを有する体幹部の回旋動作の生成には,右股関節伸展トルクおよび左股関節屈曲・内転トルクが主要因となっていること,その関与の仕方や役割は両股関節で異なる可能性が示唆された.(3)グリップ部に作用するパワーの内訳を,近位部の関節運動の関数として記述することにより,クラブに流れたエネルギーに関与した関節運動について検討した.その結果,骨盤部の回旋運動や近位部の関節運動に起因するパワーの割合が大きく,これらの動作がクラブのエネルギーの生成に大きく関与することなどが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた,競技レベルの高いゴルフ選手の動作計測,動力学的な解析の実施,エネルギーフローの算出について,実施できている.一方,エネルギーの発生能力と伝達能力を測る指標については,現在さまざまな方法を試している段階である.今後は指導の現場においても有用となる評価指標を構築し,選手の技能評価を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度における研究課題は,エネルギー発生能力とエネルギー伝達能力という2つの指標を用いて,個々の選手のゴルフスイングを評価することである.また,各々の能力に秀でた選手の動作や力学的特徴を分析することにより,エネルギー発生能力および伝達能力を高めるための動作要因・力学的要因について検討する.最後に,これらの能力とクラブヘッドスピードとの関係性について検討する.
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Causes of Carryover |
本年度は,主としてデータの取得と分析を行ったため,学会発表にかかる経費が削減された.また,被験者謝金等にかかる経費も予定より大幅に削減されたことから,次年度使用額が生じた.次年度に繰り越された経費は,海外学会発表や論文発表等の研究の成果発表にかかる経費として使用する予定である.
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