2017 Fiscal Year Research-status Report
視知覚を利用した反応トレーニングが中枢処理に与える効果とその簡易的評価の検討
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17K13187
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (10581142)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋電図 / 経頭蓋磁気刺激 / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経系の所要時間を反映するPre-motor time (PMT)は、①視覚-運動関連時間(VMRT: 光刺激から運動野(M1)に至るまでの期間)と②下行性の伝導時間(MEP潜時: M1から骨格筋までの期間)に区分することができる。これまでの調査において、PMTは反応トレーニングによって短縮するが、それは上記の②ではなく①の期間の短縮に起因することが明らかになっている。一方で、そのトレーニングに関する取り組みは、主に外部刺激(光)から筋出力に至るまでの一連の課題を反復遂行させているにも関わらず、その効果がVMRTのみに生じる点を考慮すると、高次中枢のみにフォーカスを当てた他のトレーニングの実施によってもPMTは短縮するのではないかと考えられる。そこで本研究は、従来の反応トレーニング手法・評価と異なる視点から反応向上に繋がる取り組みを筋電図や経頭蓋磁気刺激といった非侵襲的手法を用いて検討することを目的とした。 初年度は、光刺激を観ることだけをトレーニング(4週間(×週2回))として実施し、その前後で反応テスト(光刺激から筋出力に至るまでの単純反応課題: Pre-test, Post-test)によるPMT、並びにVMRT、MEP潜時の長さを健康な成人男性を対象に比較、検討した。その結果、PMTはPre-testよりもPost-testで有意(P<0.05)に短くなった。さらに、VMRTも同様にPre-testよりもPost-testが有意(P<0.05)に短くなり、MEP潜時においてはtest間に差はみられなかった。一方、短縮が認められたPMT(特にVMRT)での各被験者の傾向にはバラつきがみられ、光刺激を観る取り組みにおいて個人差が生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的は、新たな反応向上に繋がるトレーニング手法・評価を検討することである。現在まで、研究計画に大きな変更はなく、当初の内容に沿った形式で研究を遂行でき、我々の仮説通りの結果を得ることができている。さらに、トレーニング効果の検証としては、全体の平均(傾向)だけではなく、各個人に対しても着目すべき重要性が考えられ、次年度以降も新たなトレーニング手法を検討する上で様々な視点から捉えていきたいと考えている。以上のことから、当初の計画目標に沿った現在までの達成度を「概ね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
PMTをVMRTとMEP潜時に区分して評価する方法は近年実施されてきたものである(Yotani et al., 2011)。それに伴い、神経系の処理期間(PMT)が変化した場合、どの期間(VMRT, MEP潜時)が、どの程度、変化したかを同定しやすくなったことは大きな利点を有すと感じる。特に、VMRTを反映する高次中枢においては、転移効果(主とする運動学習以外の文脈へ効果が波及すること)等の可能性を含んでおり(Boot et al., 2008; 2011)、今後、反応トレーニングの効果を様々なテスト課題で評価できることに期待が持てる。次年度は、片測肢のみでの反応トレーニングが対側肢(トレーニングで用いられない肢)のPMT(特にVMRT)に及ぼす影響について調査を行う予定である。
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[Presentation] Streptomycin attenuates the effects of electrical stimulation-induced muscle contraction on reducing trabecular bone loss in the early stages of disuse in old rats.2017
Author(s)
Tamaki H., Yotani K., Ogita F., Kirimoto H., Hayao K., Takahashi H., Tamakoshi K., Tsubaki A., Onishi H., Kasuga N., Yamaoto N.
Organizer
Annual Meeting of American Society for Bone and Mineral Research
Int'l Joint Research
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[Presentation] 前脛骨筋の伸張性筋収縮の実施が脛骨骨幹端の骨量および骨梁構造に及ぼす影響2017
Author(s)
田巻弘之, 與谷謙吾, 荻田太, 早尾啓志, 中川弘毅, 玉越啓悟, 高橋英明, 桐本光, 大西秀明, 山本智章, 春日規克
Organizer
第72回日本体力医学会大会
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