2018 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷者の運動負荷時腎機能と利尿関連ホルモン動態に関する研究
Project/Area Number |
17K13190
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
河崎 敬 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50453189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 運動 / 利尿関連ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の過去の研究により、下位胸髄及び腰髄損傷者においては、持続的上肢運動を長時間行っても、自由飲水下の条件では腎機能に悪影響を及ぼさないことが確認されている。しかし、頚髄及び上位胸髄損傷者における運動時腎機能の評価は行われていない。また、屋内の一定環境に比べて体温変動が激しい屋外競技における運動時腎機能評価は、頚髄損傷者、胸腰髄損傷者のいずれにおいても全く知られていない。本研究の目的は、頚髄損傷者の上肢運動時の腎機能及び利尿関連ホルモン動態を測定し、健常者、胸腰髄損傷者と比較検討することである。平成29年度は室内での運動時腎機能を評価する目的に測定を行った。当初の研究計画では運動負荷量を最大酸素摂取量60%強度2時間を想定していたが、実際に頚髄損傷者を対象に最大酸素摂取量の測定を行った際には、運動強度、時間ともに当初の予定では継続不可能であったため、運動強度を最大酸素摂取量 50%強度とし、運動時間は30分継続して行うこととした。健常成人男性6名と頚髄損傷男性7名を対象として 測定を行った。Na排泄率は健常者群、頚髄損傷者群間で有意差はなかったが、頚損者の尿量が多かった。クレアチニンクリアランスは両群で有意な低下はなく群間でも有意差はなかったが、回復期における頚髄損傷者の自由水クリアランスは健常者群に比べて有意に高値であった。 平成30年度は、屋外運動時の測定を行う目的に、第38回大分国際車いすマラソン大会で測定を行った。対象は頚髄損傷男性5名、胸腰髄損傷男性6名であった。被験者はハーフマラソンに出場し、レース前、レース直後、ゴール後1時間の3回測定を行った。レース後の尿流量や正味の体液変化は、胸腰髄損傷者では発汗による体液損失があったにもかかわらず両群で差を認めなかったが、頚髄損傷者では胸腰髄損傷者に比べてナトリウム排泄が亢進している可能性があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、屋外運動時の測定を行う目的に、第38回大分国際車いすマラソン大会で測定を行った。対象は頚髄損傷男性5名、胸腰髄損傷男性6名であった。当初参加予定被験者はそれぞれ10名で計画していたが、体調不良や当日のキャンセル、レース中棄権などがあったため、目標とした被験者数に達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には、29、30年度に測定したデータ分析を行うとともに、必要に応じて被験者の追加測定を検討、計画する。 また、研究データを元に学会発表、論文作成と海外雑誌掲載を目標とする。
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Causes of Carryover |
平成30年度に当初予定していた被験者数に至らなかったため、本年度の研究費使用が当初の予定額と比して少なかった。平成31年度には、研究計画で予定していた被験者数を目標に被験者の選定と測定を計画する予定である。
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