2018 Fiscal Year Research-status Report
体重階級制競技における急速減量が骨格筋および消化管のタンパク質代謝に与える影響
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17K13191
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
長谷川 和哉 盛岡大学, 栄養学部, 助教 (40781703)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スポーツ生理学 / 減量 / タンパク質代謝 / 骨格筋 / 消化管 |
Outline of Annual Research Achievements |
体重階級制競技では、試合前の計量に向けて食事や飲水を制限し、短期間に体重を減らす急速減量が多くの選手に実施されている。急速減量による骨格筋および消化管におけるタンパク質代謝の分子応答メカニズムを明らかにするために、ラットへの安静(安静群)あるいは4 週間の水泳運動(運動群)を実施し、さらに3日間の絶食および1日間の飲水制限により急速減量を負荷した。本年度では、骨格筋(長趾伸筋・ヒラメ筋)と消化管(小腸・大腸)におけるタンパク質分解経路であるオートファジーおよびユビキチン・プロテアソーム系関連遺伝子の発現量を検討した。その結果、長趾伸筋におけるオートファジー関連遺伝子の発現量は運動群において急速減量によって有意に上昇した。また、長趾伸筋のユビキチン・プロテアソーム関連遺伝子の発現は、安静群・運動群共に急速減量によって有意に上昇し、安静群と比較して運動群の方が急速減量によるユビキチンプロテアソーム系関連遺伝子の発現量が有意に上昇した。一方、小腸におけるオートファジー関連遺伝子の発現は安静群では急速減量によって変化せず、運動群では低下していた。また、大腸におけるオートファジー関連遺伝子の発現は、安静群・運動群ともに上昇してる傾向が認められた。以上の結果から、運動習慣は骨格筋におけるユビキチン・プロテアソーム系を選択的に亢進させる可能性が示唆された。更にこの現象はⅡ型筋繊維タイプにおいて特に顕著に起こる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた骨格筋および消化管におけるタンパク質分解に関わる遺伝子の発現を検討し、骨格筋と消化管、また運動習慣の有無による各遺伝子の発現の違いを明らかにしたため
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に引き続き骨格筋および消化管のオートファジーおよびユビキチン・プロテアソーム系関連シグナル伝達因子の解析を中心に行う。また、急速減量による炎症性サイトカインとタンパク質分解の関連について検討を行う。
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