2017 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋肥大効果を最大限に引き出すサーカディアンリズム
Project/Area Number |
17K13192
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
張 碩文 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤助手 (20783913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概日リズム / 細胞内シグナル伝達 / 時計遺伝子 / 伸張性運動 / タンパク質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、筋肥大を誘導する伸張性運動を実施するタイミングの違いにより、骨格筋の適応に与える効果が異なるとの仮説を設定し、1)一過性および長期間の伸張性運動を実施するタイミングの違いが筋肥大に与える影響、2)そのような違いが認められる分子メカニズムについて、組織・分子レベルで明らかにすることである。 初年度は、まず一過性の伸張性運動を実施するタイミングの違いが、筋肥大に関わる細胞内シグナル伝達の活性化に与える影響について検討した。具体的には若齢のWistar系雄ラット42匹を、筋タンパク質合成に関わるp70S6Kのリン酸化率が最高値(非活動期)または最低値(活動期)を示した2つのタイミングに分け、それぞれ運動前、運動直後および1時間後の3群に分類した。一過性の伸張性運動は、動物用トレッドミル(傾斜角度-16°)を用い、16 m/分で15分間実施した。その結果、非活動期における運動直後のp70S6Kリン酸化率は、活動期の運動直後と比較して有意に高値を示した。また、運動を実施するタイミングによりp70S6Kリン酸化応答に差異が認められたので、長期間のトレーニングを実施した後、筋重量および筋横断面積などの筋表現型について評価した。具体的には若齢のWistar系雄ラット36匹を、同様に非活動期および活動期に分け、それぞれ安静群およびトレーニング群に分類した。トレーニング群は傾斜角度-16°の動物用トレッドミルを用い、16 m/分で90分間、3日に1回の頻度で2ヶ月間(計20回)実施した。その結果ヒラメ筋の筋重量および相対筋重量には、有意な交互作用が認められ、非活動期にトレーニング効果が有意に高かった。また、ヒラメ筋横断面積は非活動期トレーニング群でのみ有意に増加した。以上のことは、同様の伸張性運動であっても実施するタイミングの違いにより筋肥大の程度が異なる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、一過性および長期間(8週間)の伸張性運動を異なる時間帯に実施し、筋肥大に関わる細胞内シグナル伝達の応答および骨格筋肥大に与える影響について検討を行ったが、初年度に行うべき実験の筋サンプル採取は全て終了している。また、現在までに一過性運動後のタンパク質発現および長期間トレーニング後の組織レベルでの解析が終了しており、加えて次年度に行う予定であったRT-PCR法を用いた遺伝子発現解析に着手している。また、伸張性運動を実施するタイミングの違いにより、筋肥大の程度が異なるメカニズムについて分子レベルでの分析を開始している。 以上のことから、本年度内に行うべき研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度までに採集した筋サンプルの解析を進めることにより(タンパク質発現解析および遺伝子発現解析)、伸張性運動を実施するタイミングの違いによりトレーニング効果に違いが生じるメカニズムについて明らかにしていく。また、国内外の学会においてこれらの成果を積極的に発表し、得られた研究成果を学術論文に公表するべく準備を進めていく予定である。
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