2019 Fiscal Year Research-status Report
アスリートの時計遺伝子発現リズムの違いが運動・認知パフォーマンスに及ぼす影響
Project/Area Number |
17K13203
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 加里菜 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (80781260)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体内時計 / 時間運動学 / アスリート / 時計遺伝子 / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
運動パフォーマンスが最も良く発揮される時刻(ピークパフォーマンス時刻)は、深部体温の高い夜だと知られている。しかし、深部体温のリズムは生体リズム(朝型・夜型)で異なるため、個人の生体リズムの違いによってピークパフォーマンス時刻は異なる可能性がある。本研究では、アスリートを対象に、①生体リズムを時計遺伝子発現リズムで客観的に評価し、質問紙による既存の評価法との関連を検討すること、②生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること、③介入によって生体リズムやパフォーマンスの日内変動を調節する手法を検討すること、の3点を明らかにすることを目的とする。令和元年度は、②「生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること」に関して、時計遺伝子発現リズムで評価した生体リズムの違いがパフォーマンスのピーク時刻・日内変動に影響を及ぼすか否の実験を実施した。本実験では時計遺伝子の発現量を1日の6ポイント(6,10,14,18,22,2時)のリズムで評価し、発現ピーク時刻、振幅と朝夕でのパフォーマンス変動との関連を検討した。アスリートの個人の生体リズムの違いと朝夕でのパフォーマンス変動との関連を評価することができた。さらに、令和元年度は、③「介入によって生体リズムやパフォーマンスの日内変動を調節する手法を検討すること」に関して、光を用いて生体リズムを調節できるか否か、またできるのであればどの程度可能であるかを検討した。令和2年度は光を用いた手法で生体リズムを調節することでパフォーマンスの日内変動を調節できるか否か実験を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、平成30年度に採取したサンプルの解析を進めていくとともに、研究課題②「生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること」を進めることができた。その結果、時計遺伝子発現リズムと朝夕のパフォーマンスとの間に関連がある可能性を明らかにすることができた。また、研究課題③「介入によって生体リズムやパフォーマンスの日内変動を調節する手法を検討すること」を進めることができた。その結果、光によって生体リズムが調整できること、調整のしやすさは個人間のばらつきが大きいことを明らかにした。生体リズムの調整については検討できたが、パフォーマンスの日内変動の調整までには至っていないため、現在の進捗具合については、やや遅れているとしたが、順に課題を解決しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、令和元年度までに進めた解析結果を、研究課題②「生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること」の成果として発表する。また、研究課題③「介入によって生体リズムやパフォーマンスの日内変動を調節する手法を検討すること」に関して、令和元年度に検討した光を用いた手法によって生体リズムを調節することでパフォーマンスの日内変動を調節できるか否か、また、その関連因子を日内変動の認められる生理学的指標から明らかにするための研究を進める。
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Causes of Carryover |
費用を抑えることができたため、差額が生じたが、次年度もさらに対象者を増やして実験を継続予定である。
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