2017 Fiscal Year Research-status Report
学習内容の深い理解を促す指導方法を導入した保健授業の実践的検討
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17K13205
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
久保 元芳 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (90451707)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中学校 / 保健授業 / ピア・インストラクション / 知識 / 概念 / 理解 / 発話 / 主体的学び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,中学校および高等学校の保健授業において,生徒における保健知識の「深い理解」を促すための指導法として近年注目されている「ピア・インストラクション:PI」を取り入れた授業実践を行い,その効果について量的,質的の両面から検証することを目的としている。 平成29年度は中学校での授業実践を行なった。授業テーマは「健康な生活と疾病の予防」単元に位置づく「感染症の原因と予防」とした。まず,申請者と現職の中学校保健体育科教師とのカンファレンスを複数回開催し,PIを取り入れた国内外の授業実践の先行知見を踏まえて,授業の構成と展開,PIの概念問題づくり等の検討を行った。それを踏まえ,平成29年11月に関東地方の公立中学校1校の3学年の3クラス(実験群:Aクラス26名,Bクラス26名,対照群:Cクラス27名)を対象に授業を実施した。授業効果の評価については準実験デザインを採用し,量的評価として,学習内容に関する知識,意識等についての質問紙調査,質的評価として,学習意欲とコミュニケーション力の観点から抽出した典型生徒におけるPI活動時の発話内容の分析等を実施した。 その結果,ピア・インストラクションを取り入れた保健授業は、「自然環境の変化による感染症の発生」や「感染症の予防とマスク」等に関する知識の習得度,「感染症が起きる原因」や「感染症の広がり方」に関する関心度の向上等の効果があることが示唆された。また,典型生徒を対象とした発話分析において,普段の授業で消極的な傾向の生徒であっても,PI活動時に,主体的に参加していると捉えることができる発話をしていることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り,平成29年度中に中学校での授業実践を行うことができたが,授業効果について分析途中となっているデータが一部残っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,前年度に実施した中学校での実践の効果についてのデータの分析を更に進め,学会発表を行う。また,当初の計画に従って高等学校での授業実践を行う。授業の展開や評価の方法等についての方針は基本的に中学校での実践を踏襲するが,高等学校の学習指導要領に示された内容や,認知面での発達段階を踏まえたものとする。
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Causes of Carryover |
情報収集や研究打ち合わせに係る旅費が,地理的な条件から当初の予想より安価となったため。ただし,平成30年度に参加予定の学会の開催地および研究実践校は,いずれも研究拠点からやや遠距離に位置するため,前年度繰り越した額を平成30年度の旅費等に充当することとした。
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