2017 Fiscal Year Research-status Report
A molecular mechanism of aging through epigenome and muscle regeneration
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17K13228
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
早野 元詞 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30593644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エピゲノム / DNA損傷 / 老化 / FOXO1 / CTCF / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICEマウスは、I-PpoIというエンドヌクレースをタモキシフェンによって誘導する。I-PpoIはマウスのゲノムを約19箇所切断してDNA損傷を誘導するが、I-PpoI遺伝子の上流にloxP siteに挟まれたSTOPカセットがあるため、タモキシフェン存在下のみCre-ERT2が核内に入り、I-PpoIの遺伝子発現をオンにする。さらにDNA損傷を停止させるため、I-PpoIもERT2を融合させており、タモキシフェンがない状態ではI-PpoIは核外に局在し、DNA損傷はオフとなる。このように、これまでの紫外線、電子線、過酸化水素などのDNA損傷とは異なり①決まった場所のDNAを切断する。②I-PpoIによるDNA損傷レベルは低く、過剰なチェックポイントを誘導しない。③I-PpoIによるDNA切断領域においてDNA変異を誘導しない。④DNA損傷をオンとオフに自在に誘導できる。⑤様々な老化様表現系を示す。といった画期的なDNA損傷による老化、エピゲノム変動モデルである。ICEマウスではI-PpoIによる3週間のDNA損傷によって、白髪や白内障、脳の記憶低下や骨密度低下など様々な老化様表現系が誘導される(図1)。さらに興味深いことに筋肉において顕著な機能低下、筋肉量、ミトコンドリア量、ATP, ミトコンドリアの機能低下、血管新生の減少など非常に多くのサルコペニアに似た症状を示す。また遺伝子発現解析によって、脂質代謝や炎症に関与する遺伝子群の変化と、H3K27acとH3K56acによるエピゲノム解析から筋肉のあエピゲノムがFOXO1と呼ばれる代謝に関する遺伝子のゲノム結合領域において変化している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では筋再生能の低下と筋の機能低下は老化の指標であり、ICEマウスを用いた筋肉の機能維持と回復を目的として下記の研究実施を当初の目的としている。 1.短期間のDNA損傷がどのようにしてゲノム全体のクロマチン修飾を変化させるのか 2.誘導されたクロマチンの修飾変化が維持され、臓器(筋肉)の機能に影響を与えるメカニズム 3.エピゲノムを介して臓器の機能を戻すことは可能か DNA損傷によるクロマチン変化については、ヒストンH3K27acやH3K56ac、H3K27me3の変化する領域をpathway解析および、RNA-seqとの遺伝子発現と比較している。その結果、ヒストンH3K27やH3K56ac、H3K27me3と遺伝子発現は非常に連動しており、抗原提示などB細胞やT細胞にみられるような炎症性の遺伝子発現領域特異的な遺伝子発現およびエピゲノム変化が捕らえられている。また、DNAメチル化などヒストン修飾の他に寿命や臓器機能との関連が報告されている修飾においても、野生型の6ヶ月齢の若いマウス、24ヶ月齢の老齢マウスとICEマウスにおける変化を血液および筋肉のゲノムDNAを用いて検討している。現在までに血液および筋肉において、DNAメチル化が野生型同様にICEマウスで上昇していることが確認されている。 研究行程1にあげた筋肉におけるエピゲノム変化についてはヒストン修飾やDNAメチル化修飾のどちらにおいても変化が観察され、遺伝子発現との連動が見られる。またFOXO1やCTCFの結合領域特異的な変化および炎症関連遺伝子の変化が見られるため、これらを標的とした筋肉の機能評価、機能回復へのアプローチが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
FOXO1やCTCF結合領域特異的なH3K27acやH3K56acの変化、抗原提示関連遺伝子、炎症応答遺伝子経路特異的な遺伝子発現変化が観察されている。エピゲノムロードマッププロジェクトで公表されている臓器特異的なエピゲノムパターンと比較しても筋肉の炎症細胞へ傾くエピゲノムや遺伝子発現パターンの変化が老化およびICEマウスにおいて捉えられている。 現在、 2.誘導されたクロマチンの修飾変化が維持され、臓器(筋肉)の機能に影響を与えるメカニズム 3.エピゲノムを介して臓器の機能を戻すことは可能か へアプローチするため、CRISPR/Cas9をもちいたエピゲノム編集、遺伝子発現変化を誘導するシステムであるIn Vivo Target Gene Activationの使用を予定している。本システムはアメリカSalk InstituteであるJuan Carlos Izpisua Belmonte labより2017にCellに発表されている。現在、In Vivo Target Gene Activation systemのMTA締結中であり、本年度より使用を開始する。具体的には遺伝子発現変化を誘導する領域に対するguide RNAをデザインし、in vivoおよびin vivoにおいて使用する。このシステムによってFOXO1やCTCF結合領域における遺伝子発現、炎症性関連遺伝子発現特異的に修復を行う。in vivoでは筋肉にAAVウイルスを用いて感染、臓器機能改善をエピゲノムを介して野生型およびICEマウスにて研究を遂行する。 現在、筋肉幹細胞であるサテライト細胞での研究がまだ進行していないため、今後サテライト細胞を単離、エピゲノム評価と、In Vivo Target Gene Activation systemを用いた幹細胞の機能改善を試みる。
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Causes of Carryover |
事務用品購入として購入を予定した研究結果解析ソフトが残額で購入できず、次年度の予算と組み合わせて購入することにしたため。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Evidence for an epigenetic cause of aging in mice2018
Author(s)
Motoshi Hayano, Elias Levy Itshak Salfati, John Apostolides, Jae-Hyun Yang, Michael S. Bonkowski, Luis A. Rajman, Sachin Thakur, Neha Garg, Ana-Maria Balta, Sarah Mitchell, Yasuaki Mohri, Rafael deCabo, Emi Nishimura Andreas R. Pfenning, Philipp Oberdoerffer and David A. Sinclair.
Organizer
The International Meeting on RECQ Helicases and Related Diseases 2018
Int'l Joint Research
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[Presentation] エピゲノム変動による老化モデル構築及び、 老化関連疾患誘導のメカニズム2017
Author(s)
Motoshi Hayano, Luis A.Rajman ,Michael S. Bonkowski , Sachin Thakur , Neha Garg , John Apostolides , Sarah Mitchell , Andreas Pfenning, Jae-Hyun Yang, Rafael deCabo, Shelley L. Berger, Philipp Oberdoerffer5 and David A. Sinclair.
Organizer
第10回 Symphony
Invited
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[Presentation] Evidence for an epigenetic cause of aging in mice2017
Author(s)
Motoshi Hayano, Luis A.Rajman ,Michael S. Bonkowski , Sachin Thakur , Neha Garg , John Apostolides , Sarah Mitchell , Andreas Pfenning, Jae-Hyun Yang, Rafael deCabo, Shelley L. Berger, Philipp Oberdoerffer5 and David A. Sinclair
Organizer
Keystone Symposia, Aging and Mechanisms of Aging-Related Disease
Int'l Joint Research