2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13232
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
枝 伸彦 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (50711181)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 身体活動 / 運動 / TARC / IgE |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究では、アトピー性皮膚炎(AD)患者を対象として、日常生活における身体活動量が皮膚バリア機能およびAD病態関連因子に及ぼす影響について検討を行った。対象者はAD患者28名(平均年齢:31.4±8.7歳, 男性7名, 女性21名)とした。AD病態関連因子として血中のthymus and actication-regulated chemokine(TARC)、好酸球数、IgE、自己回答式の病態調査としてPatient-Oriented Severity Scoring of Atopic Dermatitis(PO-SCORAD)、皮膚バリア機能として角質水分量、経皮水分蒸散量(transepidermal water loss; TEWL)、皮膚pHを測定した。身体活動量は、生活習慣記録機ライフコーダGS(スズケン)を2週間着用して測定した。その結果、角質水分量とIgE(r = -0.390, p < 0.05)、TEWLとPO-SCORAD(r = 0.431, p < 0.05)、IgE(r = 0.374, p < 0.05)、TARC(r = 0.502, p < 0.01)、PO-SCORADとIgE(r = 0.488, p < 0.01)、TARC(r = 0.377, p < 0.05)、IgEとTARC(r = 0.691, p < 0.01)、好酸球数(r = 0.518, p < 0.01)、TARCと好酸球数(r = 0.426, p < 0.05)は有意な相関関係を示した。AD病態関連因子は、それぞれ相関関係にあることが先行研究と同様に確認された。一方で、総消費量とpH(r = 0.537, p < 0.01)、IgE(r = 0.614, p < 0.01)、TARC(r = 0.674, p < 0.01)、運動量とPO-SCORAD(r = 0.373, p = 0.055)、IgE(r = 0.605, p < 0.01)、TARC(r = 0.507, p < 0.01)が正の相関関係を示した。また、PO-SCORADは強度7の身体活動量と有意な正の相関関係を示した(r = 0.521, p < 0.01)。以上の結果から、AD患者においては、身体活動量が高いほどAD病態関連因子が高く、特に高強度の身体活動量は重症度と関連することが推察された。従って、令和2年度に実施予定の継続的な運動介入においては、運動強度に注意して研究計画を再考しながら研究を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
皮膚科の医師と連携してAD患者の募集を実施し、3月からの運動介入試験に17名の応募があったが、新型コロナウイルス感染症の影響で運動介入試験が中止となった。そのため、前年度に実施した19名の横断的調査に9名の被験者を追加した28名分の測定結果を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
前回中止となった運動介入試験に応募していたAD患者からさらに対象者を増やして、運動による皮膚バリア機能やAD病態関連因子への影響について、12週間の縦断的な運動介入を実施して調査を行う。ただし、令和元年度の研究結果で運動強度と病態の関連性が示唆されていることから、運動強度や種類について皮膚科医とともに再検討する。また、測定時や運動介入時の新型コロナウイルス感染症対策もしっかりと準備して研究を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により運動介入試験が中止となったため、その予算を次年度に繰り越すこととした。繰り越し分の予算は、今年度の介入研究や昨年度の横断研究の続きにおいて、被験者謝金や検体解析の費用として使用する予定である。
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