2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13232
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
枝 伸彦 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50711181)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 身体活動量 / 運動 / 皮膚バリア機能 / IL-13 / IgE / SCORAD |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究では、アトピー性皮膚炎(AD)と診断された患者28名から採取した血清を用いてIL-4およびIL-13の解析を新たに実施した。その結果、IL-4はほとんどのサンプルで検出下限を下回っていたが、IL-13は12サンプルの濃度を解析することができ、高強度の日常身体活動(r=-0.513, p<0.01)および経皮水分蒸散量(TEWL: r=0.394, p<0.05)と有意な相関関係を示した。IL-13は、皮膚の物理的バリア障害に関与しているが、高強度の日常身体活動が高いほどIL-13が低値を示しており、日常身体活動が皮膚の物理的バリアに影響する可能性が考えられた。しかしながら、IL-4とIL-13は検出下限を下回るサンプルが多かったため、より感度の高いELISAキットを使用して再解析する必要がある。また、令和3年度は、AD患者28名の測定データをもとに、Patient-Oriented Severity Scoring of Atopic Dermatitis(PO-SCORAD)のスコアが25以上50未満の中等度症状の患者16名を抽出し、日常生活の身体活動量、AD病態関連因子、皮膚バリア機能の関係を検討した。AD病態関連因子として好酸球数、IgE、角質水分量、TEWL、皮膚pHを測定した。身体活動量については、生活習慣記録機(Lifecorder GS, スズケン)を2週間着用して測定した。その結果、運動量と角質水分量(r=0.611, p<0.05)、歩数とIgE(r=-0.635, p<0.01)、歩数と好酸球数(r=-0.610, p<0.05)において有意な相関関係が示された。以上の結果から、中等度症状のAD患者においては、身体活動量が高いほど皮膚の物理的バリアが高く、血中のAD病態関連因子が低くなることが推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は、新型コロナウイルス感染症が再拡大したことによって、予定していた運動介入試験を実施することができなかった。そのため、既に採取済みの血清サンプルから、IL-4およびIL-13の解析を行った。また、これまでの測定データからPO-SOCRADのスコアをもとに中等度症状を有するAD患者を抽出し、日常身体活動量とAD病態関連因子の関連についてより詳細な解析を行った。次年度の運動介入試験に向けて、必要な測定機器や消耗品の準備は整っており、倫理審査委員会の承認も得られているため、対象者募集を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、検出下限を下回ったIL-4およびIL-13の血清サンプルについて、より感度の高いELISAキットを調達し、再解析を行う。次に、運動による皮膚バリア機能やAD病態関連因子に対する影響を明らかにするために、12週間の縦断的なランニングおよびウォーキングの介入試験を実施する。そのために、既に本学の大学病院の皮膚科と連携しながら対象者募集を進めている。また、測定時や運動介入時の新型コロナウイルス感染症対策もしっかりと準備して研究を行う。
|
Causes of Carryover |
倫理審査委員会の承認や必要な物品の調達など研究実施の準備は整っていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により運動介入試験が中止となったため、その予算を次年度に繰り越すこととした。繰り越し分の予算は、被験者のリクルートメント費用や謝金、検体解析の費用として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)