2017 Fiscal Year Research-status Report
胎盤における栄養状態によるエピゲノム制御の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
17K13237
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
舟橋 伸昭 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (30727491)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / DOHaD / エピジェネティクス / 栄養成分 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,日本では,低出生体重児の頻度が約10%と増加傾向にある.またDevelopmental Origins of Health and Disease (DOHaD) 説では低出生体重児は2型糖尿病をはじめ,様々な生活習慣病の発症リスクを高めるとされている.これらのことから,将来,生活習慣病の増加が危惧されている.しかし,DOHaD説の分子メカニズムは未だ明らかとなっていない.今回,我々はヒト組織である胎盤を用いて,どのような栄養成分がDNAメチル化を含めたエピゲノムや遺伝子発現に影響を及ぼしているのか,また,胎盤重量,出生体重に影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的として研究を行った. 胎盤は母体と胎児の間で栄養成分や酸素の受け渡しに関与しており,以前より,出生体重と胎盤重量は相関関係があることが知られている.従って,母体の栄養状態によって,胎盤中の遺伝子発現やエピゲノムの変化が起こり,胎盤重量や出生体重に寄与している可能性が考えられる. そこで,まず,この仮説を検証するために,胎盤重量と出生体重の両方が低い3例と高い3例の合計6例を用いて,それぞれの胎盤中の遺伝子発現量をマイクロアレイで網羅的解析を行った.その結果,出生体重の高い3例は低い3例より,発現増加した遺伝子が38遺伝子,発現減少した遺伝子が69遺伝子あることが示された.今回,見出された多数の遺伝子は出生体重との関連が報告されていないものもいくつか含まれており,今後,出生体重や胎盤重量との関連性について検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に計画した,胎盤重量と出生体重の両方が低い3例と高い3例の合計6例を用いて,それぞれの胎盤中の遺伝子発現量をマイクロアレイで網羅的解析を行い,興味深い結果を得ることができた.しかしながら,この解析には,品質の良いtotal RNAが必要となるが,RIN(RNA integrity number)値の高い胎盤のtotal RNAの抽出に計画以上に時間を費やし,初年度の計画に入っていた胎盤の網羅的なDNAメチル化解析まで進むことができなかった.従って,今回の進捗状況は「やや遅れている」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の計画に入っていて出来なかった分を今年度に含めて研究を推進する予定である.具体的には,以下の通りである. ①ヒト胎盤を用いた網羅的遺伝子発現解析の結果より,候補となる遺伝子を選択し,その遺伝子の発現量と出生体重,胎盤重量との相関関係を調べる.また,候補遺伝子の発現量と妊婦の各種栄養状態との関連性についても検討する. ②胎盤重量と出生体重の両方が低い3例と高い3例の合計6例のヒト胎盤のゲノムDNAを用いた網羅的DNAメチル化解析を行う. ③ヒト絨毛ガン由来細胞株BeWoを用いたエピゲノム変化および遺伝子発現量に影響を与える栄養成分の探索を行う.さらに,その栄養成分がどのようにしてエピゲノム変化および遺伝子発現量に影響を及ぼすのかを分子レベルで解析する.
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Research Products
(6 results)