2021 Fiscal Year Research-status Report
貧困による子どものむし歯の集積解消を目指した介入研究
Project/Area Number |
17K13245
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅森 幸 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (30644207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども / 貧困 / むしば / 準ランダム化試験 / 健康格差 / 歯科口腔保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもにおける貧困の連鎖・健康への負の影響は世界的に急務の課題である。わが国では現在6人に1人の子どもが貧困状態にあり、地域による健康格差は拡大している。近年、日本では子どものむし歯の全国平均は減少してきたが、疾病・異常を被患率等別にみると、小学校においてむし歯の者の割合が最も高く、その格差はむしろ拡大している。ポピュレーションアプローチとしての水道へのフッ化物添加は日本では承認されていないため、実現可能なものとして、本研究ではフッ化物配合歯磨剤の導入を試みた。フッ化物配合歯磨剤の集団導入に関する先行研究は国内外において多くあり、その効果が示されてきたが、貧困の連鎖の解消を目的とし、保護者の経済社会的地位を調整した上での報告は調べた範囲では未だない。東京都足立区の小学校1~3年生を対象に、フッ化物配合歯磨剤の集団導入に関する準ランダム化介入試験を行ってきた。無記名アンケート方式の悉皆調査・ 追跡調査が行われた「子どもの健康・生活 実態調査」より貧困状態等の回答を得た。さらに各校での学校歯科健診データも対合され、得られたものをベースラインとし、介入校では学校単位の集団導入にて、フッ化物配合歯磨剤を使用した毎昼食後の歯みがきを行った。 解析対象人数をさらに増やして得られたデータを、傾向スコアを用いたマッチングを実施し、受動喫煙の有無と子どものむし歯の既往について回帰分析した結果、受動喫煙が子どものむし歯に影響を与える可能性が示唆された。今後さらなる追跡調査を続け、因果関係を明らかにしていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られたデータを解析し、受動喫煙が子どものむし歯に影響を与える可能性が示唆される結果を得た上で、さらに解析時の共変量の確認と共に、更なる追跡調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍での影響を可能な限り排除した結果について、現在論文執筆中である。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加を見合わせたため、旅費が不要となった。 介入先との打ち合わせ、説明、その関係資料作成等を共同研究者らと行い、当初予定していた謝金が不要となった。研究打ち合わせに関してはzoom上で行ったため、旅費が不要となった。 これらの費用を用い、さらなる追跡調査後に論文執筆とするため、次年度延長申請を行い、許可された。
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