2018 Fiscal Year Research-status Report
体力及び学力の発達と関連する幼児期の生活習慣の解明:仮想RCTによる介入研究
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17K13246
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
幸 篤武 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (00623224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋量 / 就学前 / 体力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は申請者の所属機関の附属幼稚園児のデータを用い、体組成測定結果と体力との関連について横断的な検討を行った。 解析対象者は、年長児37名のうち、体組成測定を行った平成30年1月に体組成計の適応可能な6歳以上に達していた23名とした。体組成はマルチ周波数8電極体組成計(Tanita, MC-780A)を使用し、全身及び部位別の筋量並びに体脂肪量と体脂肪率を得た。体力測定は、握力、ソフトボール投げ、反復横跳び、立ち幅跳び、25m走を実施した。握力、ソフトボール投げ、反復横跳び、立ち幅跳びの測定は、文部科学省による新体力テスト実施要項(6~11歳対象)に基づき実施した。重回帰分析として、体力のそれぞれを目的変数に、月齢、性、身長、体重、BMI、体脂肪率、体脂肪量、除脂肪量、全身筋肉量、四肢筋量、SMIを説明変数に投入したステップワイズ法(変数増減法)を行い、各変数の影響度を機械的に検討した。ステップワイズ法に基づく重回帰分析では、握力の説明変数として、BMIと体脂肪量が抽出されたものの、分散の拡大要因を示す値はどちらの変数も20を超えていた。立ち幅跳びの説明変数は体脂肪率とSMIが抽出された。またソフトボール投げの説明変数として、性別だけが抽出された。その一方で、反復横跳びと25m走では有意な説明変数は抽出されなかった。以上の結果から、就学前の幼児では筋量と体力との関連は限定的であり、体力の向上をはかる上で他の因子の影響を考慮する必要性があることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮想RCTに必要なデータの蓄積は進んでいる。また本研究におけるアウトカムの一つである体力に関する解析は順調に進めることができているが、もう一つのアウトカムである学力に関する解析の進捗が遅れている。データ収集の体制を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度以降も引き続き、体力へ影響を及ぼす因子について横断的な探索を行うとともにこれまでに蓄積した4年分の縦断データを使用した解析を実施し、成果をまとめる。 解析1:両親の握力水準が子どもの体力に及ぼす縦断的な影響:説明変数に両親の握力、目的変数に子どもの体力を投入した線形混合モデルによる解析を行い、子どもの体力に親の体力の代表値である握力の高低が与える影響について縦断的に検討する。 解析2:住環境が子どもの体力に及ぼす縦断的な影響:説明変数に身体活動促進因子とされる住環境要因を、そして目的変数に子どもの体力を投入したロジスティック回帰分析や線形混合モデル等を用いた解析を行う。 またベースライン調査に参加した児童を対象として、有酸素能の評価が可能かどうか検討することを予定している。
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Causes of Carryover |
旅費や文章通信費を圧縮した結果、生じた差額であり、予算は概ね適性に執行されていると考える。平成31年度以降は、物品費として、調査に必要な記録用紙等を作成するためのコピー用紙やトナー、そして調査で得られたデータを保存するための電子記録媒体(HDD、BD-R)等、消耗品の購入を中心とするほか、新たな体力指標として有酸素能の評価が可能であるか検証するための自転車エルゴメーターの購入を計画している。そして調査で得られたデータの整理にあたる研究補助者の雇用に必要な人件費・謝金についても計上している。特に体力測定の実施、また結果集計等には労力と時間を必要とするため、是非とも研究補助者が必要である。次年度使用額はこれらに充当するとともに、予算を有効に活用することで、さらなる研究の進展を目指す。
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