2017 Fiscal Year Research-status Report
ASD児における社会的認知機能障害の発達変化:ASD児の早期診断を目指して
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17K13247
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
菊野 雄一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (10754723)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達 / ASD / NIRS / 社会的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorders:ASD)の早期発見は、ASD児本人への適切な支援をする上で極めて重要な問題である。さらに、ASDの早期発見は、的確な情報周知による二次障害防止にもつながる。我が国では現在、母親への聞き取り調査に基づく日本語版M-CHATが主流であるが、M-CHATによる診断は、①主観的な面が多く、②診断可能な月齢が遅い、という問題が挙げられる。したがって、より①客観的かつ②早期に実施可能な診断方法の確立が急務である。近年の研究では、社会的触覚刺激に対する眼窩前頭皮質の活性化がASD早期診断の客観的指標のひとつとして考えられている。また、ASD 傾向の強い健常成人では社会的触覚刺激に対する二者間の社会脳活動の同調が弱いことが脳イメージング研究により示されている。本研究の目的は、『眼窩前頭皮質の活性化のみならず二者(母子)間の脳活動の同調がASD児の早期診断の指標となる』という仮説を検証することである。 初年度は、上記の仮説を検証するため36組の母子を対象にNIRS実験を実施した。実験では、母子相互作用中の母親と乳児の脳活動を同時計測した。この際の脳活動を6HzのNIRS装置で測定し、Wavelet Coherence解析によって眼窩前頭皮質における母子間脳活動の同調を分析した結果、ASD傾向の弱い乳児では母親の脳活動との同調が見られた。以上の結果は、本研究の仮説を支持するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた二者間脳活動の同期を評価するための実験デザイン設計、データ収集、解析プログラムを初年度で完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず、本年度の結果の論文執筆をする。並行して母子間脳活動と行動の関係を探るための心理実験を進める。
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Causes of Carryover |
初年度は実験実施のための謝金及び解析プログラム開発による支出が多く、海外旅費を使用しなかった。また、参加予定の実験協力者の人数が当初の予定を若干下回った。 今後、旅費および人件費として使用する。
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Research Products
(11 results)