2017 Fiscal Year Research-status Report
小児がん長期生存者のQOL向上を目指した医療・教育・福祉の連携体制の確立
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17K13248
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平野 直樹 大分大学, 医学部, 助教 (30717997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児がん / QOL / 医療・教育・福祉の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は対象患者における診療記録の後方視的調査、アンケート調査、面接調査、QOL関連因子の検討を目的とし、大分大学小児科で診断・治療を行った小児がん患児・経験者301名(以後患者とする)を対象に電子カルテ及び紙カルテを後方視的にレビューし患者の臨床背景を抽出した。また、患者と小児がん患者の医療・福祉を担当する関係機関18市町村(以後関係機関とする)に入院時の状況、就学状況、福祉・行政等に関するアンケート調査を行った。 解析時までに結果の得られた患者は計88人であった。現在までの評価では、医療費については満足している割合が38%であるが、就職支援についての支援に満足している割合は4%と分かった。一方で造血幹細胞移植を受けた患者では医療費の支援制度に満足している割合が有意に低かった。就学状況について、「復学時に病気のことを相談できる教師がいた」「友人が多かった」「教師に病気の説明をした」「元の学校と復学に関して話し合いがあった」という割合が発症年齢の高い患者に有意に多かった。関係機関へのアンケート調査について、患者と関係機関の対比では患者は医療費について満足しているが、関係機関は患者が医療費について満足していないと考えている割合が高かった。 以上より、就職支援の重要性や、未就学児など発症年齢が低い児に対する教育機関との連携の必要性、造血細胞移植を受けた患者の特殊性を重視した支援のあり方、連携体制の整備が必要と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート回収率が不十分であり、QOL関連因子の検討に至っていない。面接調査の同意、面接を行う具体的な場所・日時等の調整が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り調査、結果の分析をすすめる。また、アンケートの再送、患者会への呼びかけ、関係機関への説明を行い、研究協力を依頼する。
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Causes of Carryover |
学会報告や論文作成に至らず、その分の経費を使用しなかったため。また質問紙のライセンスの取得が遅滞したことも未使用の経費が生じた理由の一つである。未使用額分については、質問紙のライセンス料と論文作成支援ソフトの購入に利用する。
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