2018 Fiscal Year Research-status Report
小児がん長期生存者のQOL向上を目指した医療・教育・福祉の連携体制の確立
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17K13248
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平野 直樹 大分大学, 医学部, 助教 (30717997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児がん経験者 / SF-36 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はQOLの定量化とQOL関連因子の検討を目的とし、大分大学小児科で治療終了後5年間経過した小児がん経験者のうち、調査時年齢16歳以上で研究同意が得られた50名にQOL評価シート(SF-36)を用いた調査を行った。そして、QOLを定量化し、国民標準値との比較を行った。うち、4名は基礎疾患のために自己記入が不可であるため除外し、46名を解析対象とした。 身体面、精神面、役割・社会面の3つのQOLともに国民標準値とほぼ差はなかった。 QOLスコアと臨床背景において、晩期合併症がある群では、ない群と比べて有意に精神面のQOLが高いことが分かった。これは、晩期合併症のために継続的に医療機関を受診することが精神的な負担の軽減につながっている可能性があると考えた。QOLスコアと昨年度実施したアンケートにおいて、ヒストグラムでは自身の疾患を理解できていない人は社会面のQOLが低いところに分布していることが分かった。これより、疾患の理解を向上させることがQOL改善に寄与する可能性を考えた。また、Spearmanの順位相関係数では、身体面のQOLでは復学時に教師や友人に説明した、いじめられた経験がある、行政に相談の経験があるという項目で負の相関を示した。以上より、身体面のQOL低下例では、患者・家族と医療・学校・行政の関係強化が必要となる可能性を考えた。また、希望していた進路に進むことができた、という項目では身体面のQOLとは正の相関を示したが、社会面のQOLでは負の相関を示した。以上より、晩期合併症がある人は精神面のQOLが高いことから、晩期合併症のために継続的に医療機関を受診することが精神的な負担の軽減につながっている可能性があると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教育機関からのアンケート回収率が不十分であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り調査、結果の分析をすすめる。また、アンケートの再送、教育機関への呼びかけや説明を行い、研究協力を依頼する。結果については学会報告、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
学会報告や論文作成に至らず、その分の経費を使用しなかったため。未使用額分については、論文作成支援ソフトの購入に利用する。また、追加アンケート送付時の印刷費用や郵送費用に充てる。
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