2018 Fiscal Year Research-status Report
子どもの主体性を育む運動環境における子ども-環境-指導者の円環的相互関係を紐解く
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17K13250
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
古屋 朝映子 (平倉朝映子) 川村学園女子大学, 教育学部, 准教授 (10612468)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子ども / 運動 / 指導者 / 円環的相互関係 / 環境構成 / 親子体操 / 関係の変化 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,子どもが多様な動きを経験でき,自発的に体を動かしたくなるような環境構成の構築に向けて,「子どもー環境ー指導者の円環的相互関係」を明らかにするとともに,運動環境を構築するための「工夫」に関する実践的知見を得ることを研究の目的としている. 平成30年度は,平成29年度に実践した,研究主体者が指導者を務める3歳児とその母親7組を対象とした親子体操教室における実践(近郊の児童館にて週に1回,約50分間の様々な用具を活用した親子への運動指導実践)についての分析を行った.具体的には,参加者の「関係の変化」について,周囲の人(他の親子や指導者)や出来事(運動プログラム)との観点から,仮説生成型研究として帰納的モデルを提示することを試みた(日本コーチング学会第30回大会兼第12回日本体育学会体育方法専門領域研究会,2019年3月,神奈川にて発表). その結果,参加者の「関係の変化」として,母親同士や子ども同士,親子,指導者と親子それぞれの間には「関係の変化」が見られ,それは「『親子の集合体』から『集団としての親子』への変化」および「指導者と親子との相互主体的な関係への変化」として捉えることができた.そしてその変化には,<きっかけ作りとしての指導者>の意図のもと,<母親が活動の主体となる場>,<指導のバランス>,<他者との関わり合いを促す活動>が影響を与えていたことが明らかとなった. また,研究結果の検証を目的として,引き続き3歳児とその母親を対象とした親子運動教室(前述の親子体操教室と同様のプログラムを別の対象者に実施)を実践し,質的な観点からデータを収集した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマである,子どもの運動環境における「子どもー環境ー指導者の円環的相互関係」について,親子体操教室をフィールドとし,参加者の「関係の変化」という視点から一定の知見を得ることができた.そして,研究結果の検証を目的として,引き続き3歳児とその母親を対象とした親子運動教室(前述の親子体操教室と同様のプログラムを別の対象者に実施)を実践し,質的な観点からデータを収集することができた. 運動環境を構築するための「工夫」に関する実践的知見の獲得に関しては,今年度具体的な研究として実施することができなかったが,次年度に視察調査による研究を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成30年度に実施した親子体操教室の参加者の「関係の変化」に関する研究について,得られた知見を投稿論文としてまとめる予定である. また,2019年7月にオーストリアにて開催される「第16回世界体操祭(16th World Gymnaestrada)」にて,運動環境を構築するための「工夫」に関する知見を得るために,視察調査を行う予定である. 以上の研究内容を踏まえ,最終年度として,子どもが多様な動きを経験でき,自発的に体を動かしたくなるような環境構成の構築に向けて,「子どもー環境ー指導者の円環的相互関係」を明らかにするとともに,運動環境を構築するための「工夫」に関して,実践的知見としてまとめたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初計画していたドイツ国際体操祭(Internationales Deutches Turnfest)への視察をおこなうことができなかったことに由来する。今年度は,当初の計画の代替案として,2019年7月にオーストリアにて開催される「第16回世界体操祭(16th World Gymnaestrada)」にて,運動環境を構築するための「工夫」に関する知見を得るために,視察調査を行う予定である.
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