2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物生合成を模倣した内因性分子の構造改変による新奇生物活性分子創出
Project/Area Number |
17K13263
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 昌樹 九州大学, 薬学研究院, 特任助教 (40732954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機合成 / ステロイド / 酸化ステロイド / Click反応 / NF-kB阻害剤 / C-H酸化 / C-H水酸基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,植物の産生する酸化ステロイド化合物にヒントを得た,新奇生物活性化合物の創出を目指している.ステロイド構造のCD環部が酸化・骨格変換を受けた構造ユニットの生物学的重要性を明らかにするため,以下の合成上の課題に取り組み,数種の化合物の合成に成功した.また,その一部の化合物に関して,生物活性試験を検討し,NF-kB転写活性化阻害作用を有する化合物を見出すことに成功した.以下詳細を述べる. 1. 疎水性官能基を導入した酸化ステロイド化合物の合成: 昨年度開発・最適化した,疎水性官能基導入法を用いて,3種の光学活性な酸化ステロイド誘導体,および2種のエナンチオマーを合成した.これらの化合物について,生物活性について検討したところ,そのうち1種に関して,NF-kB転写活性化阻害作用を示すことが明らかになった. 2. C環部・BC環部構築法の確立: 昨年度見出した,C環部を有するより複雑な誘導体合成法をさらに拡張・最適化し,疎水性官能基としてBC環部ユニットを効率よく導入する手法を確立し,設計した1種の酸化ステロイド誘導体の合成に成功した. 3. ステロイド化合物の不活性なC-H結合に対する水酸基化反応: 天然のステロイド化合物の不活性なC-H結合を酸化する反応を検討し,数種の生成物の構造同定に成功した.本C-H酸化反応は,現在入手が困難あるいは非常に高価であるため,生物学的研究が立ち遅れている酸化ステロイド化合物の有力な供給法となると期待できる.
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