2017 Fiscal Year Research-status Report
生体内イメージングを指向した第三周期元素架橋型セレンテラジン類の創製
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17K13266
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西山 義剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (90755357)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 硫黄 / リン / セレンテラジン / 生物発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物学の基礎的な研究、疾患の予防や治療といった臨床的な応用において、生命現象を司る生体分子の分布や挙動を可視化する手法が重要な役割を果たしている。この際、感度良く検出できる生物発光に注目が集まっているが、生きた個体においても生体分子での検出を可能とするためには、発光波長の長波長化が必要となる。これに対して、本研究では、長波長シフトに有効な第三周期元素であるリンや硫黄のセレンテラジン骨格への導入により、長波長で生物発光するセレンテラジン類縁体を創製することを目的として研究を行っている。今年度は、セレンテラジン骨格にリン原子や硫黄原子を導入するための検討を行うなかで、炭素原子上にリン原子や硫黄原子を効率的に導入できる手法を開発することができた。まず、リン原子上に2つの硫黄原子を有するホスホン酸ジチオエステルに対してGrignard反応剤を作用させると、炭素-リン結合を順に形成でき、通常では合成困難な非対称なホスフィンオキシド類を合成できることを見いだした。とくに、リン-硫黄結合が有する適度な反応性と安定性を利用することで、他の官能基を損なうことなく分子内での環化反応を実現できることを明らかにした。これにより、リン原子を環内に含む環状化合物を合成する手法を開発でき、第三周期元素架橋型セレンテラジンのリン架橋部位を構築するにあたって有用であると考えられる知見を得ることができた。また、リン-硫黄結合を有する化合物に対してGrignard反応剤を作用させた時に、炭素原子上にリン原子が導入されるのではなく、基質や条件によっては硫黄原子が導入されることを新たに見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セレンテラジン類縁体の合成には至っていないものの、リン原子を架橋部位として有する環状化合物を含む、多彩な有機リン化合物群を効率的に合成できる手法を開発でき、今後のセレンテラジン類縁体合成に重要な知見を得ることができたため。また、炭素原子上に硫黄原子を求電子剤として導入する新たな手法についても、萌芽的な知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
リン原子で架橋されたセレンテラジン類の合成を指向し、リンを含む環状化合物群の合成法をさらに検討する。また、リン-硫黄結合を有する化合物とGrignard反応剤との反応性について精査し、炭素原子上に硫黄原子を導入する手法を確立することで、硫黄原子で架橋されたセレンテラジン類の合成を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)セレンテラジン類へのリン原子や硫黄原子を導入するための予備的な検討を行う中で、これらの原子が有する想定外の反応性を見いだした。今年度は、それらの反応性を明らかにして基礎的な知見の収集を主に行った。そのため、当初予定していた試薬類の購入を次年度に行うことととしたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)今年度購入を予定していた金属触媒などの試薬類を購入する予定である。
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Research Products
(10 results)