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2017 Fiscal Year Research-status Report

新規Mg2+イメージング法の開発とそれを用いたグリア細胞内Mg2+動態の解析

Research Project

Project/Area Number 17K13268
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

新藤 豊  慶應義塾大学, 理工学部, 特任助教 (30449029)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords蛍光イメージング / マグネシウム / アストロサイト / グリア細胞
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、我々のグループでこれまでに開発されたMg2+選択的蛍光プローブを用いた細胞内Mg2+濃度変化の詳細な観察法を確立し、グリア細胞内Mg2+動態を詳細に明らかにすることである。この目的を達成するために本年度は細胞内の特定化所でのMg2+濃度変化を詳細に調べる手法の確立に注力した。Mg2+は細胞機能に必須のイオンであるが、核内のDNAの安定化やミトコンドリア内のATP産生制御、細胞各所の酵素活性制御など、細胞内の場所ごとに異なる役割を果たしている。それらの詳細を調べるためにはプローブを目的箇所に局在化させ、その部分でのMg2+濃度変化を測定する必要がある。しかし我々のグループで開発してきたMg2+プローブはイオン選択性が高いが、蛍光強度変化を濃度変化に対応させているために細胞の動きや形態変化によるアーティファクトが乗りやすく、特に細胞局所でのイメージングでは問題となる。これを解決するためには参照となるもう一つ別の蛍光との蛍光比をとることが有効な手段となる。そこで、ペプチドタグ局在型プローブであるKMG-104-AsHと蛍光タンパク質を組み合わせ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いたレシオメトリックイメージング法(KMG-FRET)を開発した。青色蛍光タンパク質TagBFPまたは赤色蛍光タンパク質mCherryがこのFRETイメージングに最適であることを見出し、これら細胞内の各所に局在化させてそこにKMG-104-AsHを結合させることで細胞内局所でのレシオメトリックイメージングを達成した。これらを用いて細胞内小器官内部や周囲、細胞膜近傍でのMg2+動態を測定し、局所イメージングの有用性を示した。これらの成果については2017年度日本バイオイメージング学会年会にて発表した。また、2018年度日本ケミカルバイオロジー学会年会においても発表予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題は、我々が以前開発したMg2+選択的蛍光プローブKMG-104-AsHと蛍光タンパク質の組み合わせによる細胞局所Mg2+濃度変化のレシオメトリックイメージング法(KMG-FRET)の確立および、これと他のKMGシリーズも用いた初代培養のラットアストロサイト内Mg2+動態を詳細に明らかにすることの2段階からなる。初年度は主に前者に注力した。まずKMG-104-AsHとのFRETに適した蛍光タンパク質を探索し、TagBFPとmCherryが最適であることを見出した。これらのFRETシグナルはMg2+濃度依存的に変化し、その応答範囲は細胞内Mg2+濃度に適した範囲であった。また、これらと局在シグナルペプチドを組み合わせて蛍光タンパク質を細胞内の目的箇所に局在化させることで、その箇所のMg2+濃度変化を測定できることを示した。現在は細胞質、核、細胞膜内側、ミトコンドリア近傍、小胞体内にプローブを局在化させて、これらの箇所のMg2+濃度変化を計測することに成功している。これらの成果は2017年度に学会発表を行い、現在投稿論文化を目指して詳細を詰めているところである。また、現在可能な箇所以外にも測定可能箇所を増やすことの検討も随時行っている。
後者の、グリア細胞の一種であるアストロサイト内のMg2+動態の解明については現在、細胞質中のMg2+濃度を変化させる細胞外刺激のスクリーニングを行っている最中である。まずは細胞質のMg2+濃度変化を可視化できる蛍光プローブであるKMG-104を用いて、神経伝達物質やグリオトランスミッターに対するアストロサイト内Mg2+濃度変化の様子を測定しており、どのような刺激が細胞内Mg2+を大きく変化させるのかのスクリーニングを進めている。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、前年度に確立した新規な細胞内局所Mg2+濃度変化のレシオメトリックイメージング法、KMG-FRETを論文発表することを目的に最終的な詰めを行う。また、この手法および以前に開発されたプローブを用いたアストロサイト内Mg2+動態の解明を進めていく。現在は細胞質中のMg2+動態を観察するために、我々のグループで以前開発されたKMG-104を用いた観察を行っている。神経伝達物質やグリオトランスミッターに応答して細胞内Mg2+濃度を変化させるのかどうかを、再現性を含め正確に確かめている。本年度は、ここでアストロサイト内Mg2+濃度を大きく変化させることが分かった物質について、どのような細胞内シグナルを介してMg2+濃度変化を引き起こすのかのメカニズム解明を進めていく予定である。細胞質中のMg2+濃度の上昇および減少について、①細胞外からの流入や細胞外への放出、②細胞内小器官からの放出や取り込み、③ATPとの結合解離の可能性を探る。①、②はそれらにかかわる可能性がある細胞内シグナルや実際のイオン輸送にかかわるタンパク質の活性化剤や阻害剤を用いた薬理実験および局在化させたKMG-FRETによる細胞内小器官内や近傍の濃度変化の観察により詳細を詰めていく。③は遺伝子コード型のATPセンサーであるATeamにより観察したATP濃度変化との比較で検証する。
また、引き起こされたMg2+濃度変化がグリア細胞の機能に影響を与えるのか否かについても評価する予定である。アストロサイトの重要な機能として、周囲の細胞に向けたグリオトランスミッターの放出や神経細胞外環境の調節がある。これらについて、開口放出のイメージングやKMG-FRETを用いた細胞外Mg2+濃度変化のイメージングによる測定を行い、Mg2+濃度変化の影響を評価する。

Causes of Carryover

本年度は研究計画前半の、新規なMg2+測定手法の確立に注力した。そのため並行して行う予定であった、グリア細胞内Mg2+濃度変化を引き起こす刺激の探索に着手するのが当初計画していたよりも遅れている。そのため、そちらで必要な試薬類や培養に必要な消耗品類、アストロサイトを単離するために必要な実験動物などにかかる費用が次年度へと繰越しとなった。そのため、次年度に細胞実験および蛍光イメージングに必要な消耗品や試薬類を購入する予定であり、当初の予定と合わせてこれらの実験も進めていく計画である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] A Transient Rise in Free Mg 2+ Ions Released from ATP-Mg Hydrolysis Contributes to Mitotic Chromosome Condensation2018

    • Author(s)
      Maeshima Kazuhiro、Matsuda Tomoki、Shindo Yutaka、Imamura Hiromi、Tamura Sachiko、Imai Ryosuke、Kawakami Syoji、Nagashima Ryosuke、Soga Tomoyoshi、Noji Hiroyuki、Oka Kotaro、Nagai Takeharu
    • Journal Title

      Current Biology

      Volume: 28 Pages: 444~451.e6

    • DOI

      10.1016/j.cub.2017.12.035

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 局在化プローブを用いた細胞内マグネシウムイオンのFRETイメージング2017

    • Author(s)
      新藤豊、山中龍、鈴木孝治、堀田耕司、岡浩太郎
    • Organizer
      日本バイオイメージング学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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