2017 Fiscal Year Research-status Report
脳磁図を用いた言語機能の神経生理学的バイオマーカーの探索
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17K13271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 俊彦 大阪大学, 医学部附属病院, 技術職員 (20755277)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語機能 / 脳活動 / 脳磁図 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に高齢者、若年者の二群における言語課題時の脳磁図データと認知機能検査データの収集を行った。被験者募集にはホームページでの公募等を用いて行い、本年度で24名分のデータを収集することができた。また、被験者のリクルートと並行して脳磁図データ解析のための空間フィルター解析と時間周波数解析のプログラムを新たに作成した。 作成したプログラムを用いて二群間の脳律動変化の空間分布を比較すると、alpha(8-13Hz)、beta(13-25Hz)、low gamma(25-50Hz)帯域において、高齢者群で左の言語領野が若年者群より広範囲に活動していることが明らかとなった。また。時間周波数解析により、二群間の脳律動の時間変化を比較したところ、言語課題提示後500ms以降で高齢者群の方がalphaからlow gammaの3帯域において脳律動変化の左右差が大きくなることが明らかとなった。 また、各人において言語能力指標としてWAIS-ⅢとWMS-Rを施行したところ、言語性IQの粗点については高齢者群と若年者群で有意差がなかったが、言語性記憶の粗点については若年者群に比較し高齢者群で有意に低い結果となった。 さらに、脳磁図データにより算出したalpha帯域の脳律動のパワー値と言語能力指標のスコアの相関を検討したところ、若年者群では言語性記憶のスコアが低いほど脳律動のパワーが高いのに対し、高齢者群では言語性記憶のスコアが高いほど脳律動のパワーが高くなり、二群間で逆の傾向があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたデータ収集数は20人分であったが、24人分のデータを収集することができ、データ解析も予定通り実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、脳磁図のデータ収集を予定被験者数になるまで実施する。またデータ解析も進めることで言語に関する脳活動と認知機能の相関を明らかにする。さらに、それらの結果で導き出された相関関係を言語能力の低下しているてんかんや脳腫瘍の患者に適用することで、臨床の患者に適用可能かどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
購入PCの価格が当初予定していた金額よりも低くなったため。翌年度は脳磁図計測費用として使用予定である。
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