2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the Structural Basis of the Jewish Colonization Movement in Palestine
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17K13290
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
今野 泰三 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (90647835)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イスラエル / パレスチナ / シオニズム / 入植地問題 / 中東地域 / ヨルダン川西岸地区 / 民族宗教派 / 占領 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、イスラエルの民族宗教派の組織的・思想的起源に関して一次資料の翻訳と分析を中心に考察を進めた。特に、以下に挙げる重要文献の読解を進めた. ①『シオンへの帰還――エレツ・イスラエル定住を称賛する賢者達の論考集』(1998年、ヘブライ語)、②『理想と実践におけるトーラーと労働――ハ・ポエル・ハ・ミズラヒ運動とその創設者達の活動の物語――1921~1932年』(1985年、ヘブライ語)、③『ハ・ポエル・ハ・ミズラヒ運動1921~1935年』(1971年、ヘブライ語). これらの作業を通じて、以下の2点を新たに発見することができた。その第1は、文化的シオニズムの提唱者であり、シオニズム運動内に「民主派」が結成される思想的基盤を与えたアハド・ハアムの思想が、シオニズム運動の宗教派に組織化を促す大きな動機を与えていたということである。そのため、民族宗教派の思想的・組織的な起源と特徴を明らかにするためには、それ自体の指導者達の思想だけでなく、ハアムの思想をも正確に把握していく必要性があることが明らかとなった。そのため本年度は、上記の文献に加え、ハアムの著書のヘブライ語原典からの翻訳も行った。第2に明らかになったことは、パレスチナにユダヤ系移民が入植した初期から、「民族宗教派」と一纏めに呼称されている集団内においても、都市の中産階級と農業入植村に入植した無産労働者の間で確執と対立があり、それがイスラエル建国以降の民族宗教派内部の思想的な多様性と政治的ダイナミクスの基盤となっていった可能性があるということである。 本年度は、上記のテーマに関連して2つの研究発表を行った。だが、資料の分析に時間を要したため、その成果を学術論文として完成させるまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
資料を分析していく中で新たな発見があった一方で、資料の翻訳と分析が予定よりも時間を要し、かつ、アハド・ハアムの難解なヘブライ語文章の翻訳と分析にも時間を費やしたため、研究成果を学術論文として発表するまでに至らなかった。しかし、現在も続くイスラエルの民族宗教派による入植活動の構造的基盤を明らかにするためには、その組織的・思想的基盤の起源を詳細かつ正確に明らかにすることが必要不可欠である。ゆえに、本年度に新たに発見したことは、今後の研究の発展にとって重要な意味を持つと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに分析・翻訳した資料の内容をまとめ、20世紀初頭に民族宗教派がシオニズム運動内で組織化された経緯と背景、及び、民族宗教派がパレスチナにおいて物質的基盤を獲得していった経緯と背景に関し、学術論文を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、日本国内での資料の分析に時間を要したため、イスラエル/パレスチナ・英国・ヨルダンでの現地調査、及び、国際学会への参加を延期した。そのため助成金の次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、現地調査の渡航費、国際学会への参加費、及び、専門知識の提供者への謝礼で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)