2017 Fiscal Year Research-status Report
伝統をめぐるマサイの「ポジショニングス」の多様性と可能性
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17K13291
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
目黒 紀夫 広島市立大学, 国際学部, 講師 (90735656)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マサイ / 伝統 / 表象 / グローバリゼーション / 環境保全 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、8~9月と2月の合計約2か月にわたってケニアにて現地調査を行ない、それ以外の期間は日本国内で文献調査と情報の整理・分析、学会発表、論文投稿を行なった。現地調査では、3つの事例のうちマサイ・オリンピックとマジモト・マサイ文化キャンプについて、それぞれの取り組みを主催する組織・人物に聞き取り調査を行ない有用な情報を得ることができた。もう1つの調査対象であるマサイ知的財産権イニシアチブについてもコンタクトを取り、二次的な情報の収集を行なった。この結果、平成29年度に達成することを計画していた、事例間の共通点と相違点の検討を行うことができた。その中でも特に重要な点としては、いずれの取り組みの場合も地元住民であるマサイ自身のイニシアチブに基づいて発展してきたかのように説明されるが、実際には3つとも外部の開発援助団体が持ち込んだプロジェクトに端を発していることが明らかとなった。 このように現地調査で得られた情報と日本国内で進めていた文献調査の結果をもとに、平成29年度は国内学会・国際学会各1つで発表をするとともに、日本語論文2本(うち1本は共著)と英語論文1本を公刊した。今年度は環境保全と国際観光の観点から主に議論を展開した。学会発表や論文投稿を通じて他の研究者からのコメントを得ることができ、来年度以降の課題として3つの事例を包括する抽象的な分析ないし議論の枠組みを設定することが必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は計画通りに現地調査を行ない、当初の計画で目標としていた情報を収集することができた。また国内学会だけでなく国際学会で発表し、英語論文を執筆することができただけでなく、それらの過程で国内外の研究者と意見を交わすことができ、翌年度以降の課題も明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降も、当初の計画に沿って研究を進める。具体的には、マサイ・オリンピックを主催する環境NGOの職員を対象としたアンケート調査を試みるとともに、それ以外の2つの取り組みについては関係者へのさらなる聞き取り調査を行なう。また、各種メディアで取り上げられる際に各取り組みがどのように説明されているのかについて情報収集を継続するとともに、各取り組みに関与している地元住民への聞き取りを現地調査の中で行なう計画である。 その一方で、日本国内にいる期間に文献調査をさらに進める。環境保全・国際観光については一定の成果が既に上がっているので、平成30年度はグローバリゼーションにより重きを置く計画である。
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