2019 Fiscal Year Research-status Report
伝統をめぐるマサイの「ポジショニングス」の多様性と可能性
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17K13291
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
目黒 紀夫 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (90735656)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マサイ / 伝統 / ポジショニング / マサイ・オリンピック / ケニア / 環境保全 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は8~9月と3月の2回にわたり、合計約2カ月弱の現地調査をケニアで行なった。本科研の主要事例であるマサイ・オリンピックに関して、それを主催するグローバルNGOで働く地元住民と、それに選手として参加する地元住民の双方に聞き取りを行なった。この結果、双方の見解がどこで相違しているのかをより細かい点まで確認することができた。これまでに主催NGOがインターネットを通じてどのようにマサイを表象しているのか、また、その表象の仕方は地域の伝統的リーダーからすると受け入れ難いものであるが、リーダー達はそもそも主催NGOがインターネットを通じて発信している表象の内実を知らないでいることを明らかにしてきた。今年度の調査の結果、リーダーに限らず主催NGOでマサイ・オリンピックのために活動をしている地元住民であっても、自分たちマサイがどのように表象されているのかを理解しておらず、明確なデジタル・デバイドが存在することが明らかになった。近年のアフリカのメディア研究では、情報通信機器の普及に伴いアフリカ人が情報の発信者となっている点が注目されているが、それはマサイ社会およびマサイ・オリンピックについては必ずしも妥当しないことが明らかになった。こうした結果と考察は、日本アフリカ学会、日本スポーツ人類学会、日本環境社会学会で、それぞれ地域研究、スポーツ開発、環境保全の文脈に即して発表を行なった。次年度が最終年度であり研究の総括を行なう予定であるが、これらの発表と議論を通じて、それに資するアイデアを得ることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から大きく外れることなく現地調査を行ないデータを収集することができている上に、複数の学会発表を通じて最終年度に向けて考察も煮詰まりを見せているから。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は、本研究の総括を行ない論文または書籍として研究成果を公表する計画である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は日本だけでなくケニアでも広がっており、計画通りにケニアで現地調査を行なうことが難しい点に関しては、インターネットを通じた情報収集に代えるか、文献調査を調書の計画以上に行なうことで対応する考えである。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な出張や物品購入などを行なったところ年度末に少額が残ったが、それを用いて購入すべき物品等がなかったため。
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