2017 Fiscal Year Research-status Report
ハワイ、オーストラリアにける日本人売春の歴史的研究
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17K13303
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
大原関 一浩 摂南大学, 外国語学部, 講師 (00749880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー / 移住 / 性管理 / 労動 |
Outline of Annual Research Achievements |
①オーストラリア国立図書館(National Library of Australia)が所蔵する『Papers of David Sissions Collection』の資料を収集し、明治期オーストラリア各地で売春に従事していた女性たちに関する統計資料、警察記録、新聞記事の収集を行った。これらの資料を分析し、オーストラリアと北米西部における日本人の売春の類似点・相違点が明らかになってきた。 1)日本人売春が、両地域におけるフロンティア型の社会形成にとって必要不可欠な存在として重要視された。 2)両地域における人種経験の違い(北米社会が有色労働者を取り込みながら発展し、オーストラリアが有色人種を排除して社会の安定を図った)が日本人売春の発展・衰退のあり方に影響を与えた。 3)北米への渡航ルート(横浜から香港・上海・ハワイを経由)とオーストラリアへの渡航ルート(長崎から香港/上海/シンガポール/マレーを経由)は異なっていた。 ②アメリカ国立公文書記録管理局(National Archives & Administration)で、ハワイの日本人売春に関する米国連邦地方裁判所の記録の収集を行った。現在、これらの資料を分析し、1900年にハワイがアメリカの準州となった後、アメリカ全土で反売春・移民規制の動きが高まりつつあるなかで、関連する連邦法がハワイの日本人移住者たちにどのように適用されたのか、そして日本人娼婦や周旋者がそうした規制に対してどのように反応したのか、検討している。調査・分析の報告をマイグレーション研究会で発表することが決定している。 ③外務省外交史料館において、ハワイとオーストラリアの日本人売春に関するファイル(先行研究で未使用のファイルを含む)を撮影した。現在史料を整理・分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の学期間(夏季休暇と春期休暇)に海外での資料収集を2回、国内での資料収集1回行うことができ、想定していた資料を入手することができた。オーストラリアにおける資料収集とその分析については、ジェンダー史学会で発表し、フロアからのコメント等から次年度の課題・これからの研究の方向性が明らかになってきたので。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、夏にハワイでの資料収集を行う。連邦地方裁判所の記録から読み取れた国家レベルでの法の適用と、地域レベルでの日本人売春の管理(警察などによる)はどのように違うのか?現地の公的記録、警察記録、統計資料、民事裁判資料、新聞記事などの収集をハワイ州立公文書館(Hawai'i State Archives)やハワイ大学図書館などで行う。成果をマイグレーション研究会等で発表する予定である。
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Research Products
(3 results)